日本マイクロソフトと東京エレクトロンデバイスを中心とした10社は9日、IoTビジネス推進のための新団体「IoTビジネス共創ラボ(共創ラボ)」を発足した。Microsoft Azureを活用したIoTプロジェクトの共同検証を行い、日本市場におけるIoTの普及とビジネス機会の拡大を進める。
共創ラボは、東京エレクトロンデバイスが幹事社、日本マイクロソフトが事務局を担当し、アクセンチュア、電通国際情報サービス(ISID)、日本ユニシスなど8社が参加し、IoTのエキスパート企業10社でのスタート。1年以内に100社の参加を目指す。
発足会見で、幹事会社となる東京エレクトロンデバイスIoTカンパニーの八幡浩司プレジデントが、IoT市場の動向と同ラボ発足の狙い、活動について説明した。
同ラボは「IoTエキスパートによるエコシステムの構築」と「プロジェクトの共同検証によるノウハウ共有」「先進事例の共有によるIoT導入の促進」の三つを目的として発足。ビジネスWGと分析WG、分野別の製造WG、物流・社会インフラWG、ヘルスケアWGの合計五つのワーキンググループでプロジェクトを共同検証していく。
今後の国内のICT市場は、2019年まで25兆円規模の横ばいで推移。そのうちIoT市場が9兆円を占め、これが19年には16兆円になると予想。八幡氏は「今後5年間でICT市場25兆円の中の構造が変わる。IoT市場は7兆円ののびしろがあり、ここにエコシステムを結集して臨んでいく」としている。
次いで、同ラボにおける日本マイクロソフトの取り組みについて、同社の樋口泰行会長が説明。
同社はIoTを支えるコンピューティング環境としてAzureを展開中。「Azure IoT
Suite」による共同検証の支援をベースとしたIoTソリューションの開発を促進するほか、共同検証の結果を発表するセミナー、エンドユーザーとの同ラボのメンバー企業とのマッチングの場などを提供していくという。さらには、Azureとの接続に関してあらかじめデバイスを認証する「Microsoft Azure Certified for
IoTプログラム」を提供し、デバイスとクラウドのエコシステムをつないでIoT普及を支援していく。
樋口会長は「イベントやセミナー等を実施し、1年間で5000人にリーチしたい。第1回は3月10日を予定している。またIoTエキスパートとのマッチングや先進事例のモデル化推進、案件の共同開拓を通じ、1年以内で100案件の創出を目標とする」と話した。
またIoT技術者育成にも力を注ぎ、「1年間で90回以上の無償トレーニングを行い、1万人を育成する」(樋口会長)とする。IoTデバイスの接続の基礎から、高度な分析まで教育していく。
■これまでのIoT関連団体との違いは?
昨年、インダストリー4.0やIoTを活用した製造現場の革新を推進する多くの団体・グループが発足した。GEやインテルが主導し、日本企業も参加する「IIC(インダストリアルインターネットコンソーシアム)」、つながる工場のため“ゆるやかな標準”を目指す「IVI(インダストリアルバリューチェーンイニシアチブ)」、国のロボット新戦略からスタートした「ロボット革命イニシアチブ協議会」、そして昨年11月に経産省と総務省がタッグを組んで立ち上げた「IoT推進コンソーシアム」などがある。
今回の共創ラボも目的はIoTビジネスの普及であり、はじめに製造業をメインターゲットとする意味では、先行する他の団体・コンソーシアムと変わらない。では、同ラボはこれまでのものと何が違うのか?
同ラボは、IoTプラットフォームとしてAzureを利用するほか、ソリューションとしてAzure IoT Suite、デバイス認証としてAzure Certified for IoTプログラムが整備されている。
また、半導体商社・メーカーとしての東京エレクトロンデバイス、Windows
EmbeddedからWindows10まで幅広く組み込み、業界を支え、さらにクラウドサービスまで手掛けるマイクロソフトがタッグを組むことで、IoTデバイスとクラウドをカバーしている。統一したプラットフォームのもと、メーカードリブンで具体的にIoTデバイスの開発から、その活用ソリューションまで一貫して実行できる。
IoT共創ラボ参加企業
東京エレクトロンデバイス
日本マイクロソフト
アクセンチュア
アバナード
テクノスデータサイエンス・マーケティング
電通国際情報サービス
ナレッジコミュニケーション
日本ユニシス
ブレインパッド
ユニアデックス