21世紀も10年が経過、2010年代の幕が明けた。全世界同時不況に明け暮れたと言っても良い09年であったが、政権は新たに民主党を中心とした連立政権に交代し、政治の枠組みも大きく変わろうとしている。多くの国民はその行方に期待して、日本の舵取りを新政権に委ねた。果たして10年はどういう年になるのであろうか。
昨年11月に開催されたFA業界最大の展示会「システムコントロールフェア(SCF)2009」では、FA関連の製品・ソリューションに加え、環境問題を意識した展示が目立った。
製品展示以前の問題として、展示ブースの環境負荷低減を狙いに、リサイクルを考慮した設営、照明光源のLED化、環境に負荷を与えないカタログ印刷方式の採用などが積極的に取り組まれていた。
展示製品も省エネ、省資源、環境負荷物質の低減などで共通し、電池技術、LED技術、新エネルギー開発技術など直接的な環境対応に加え、鉄道技術、電力送電技術などもアピールし、単なるものづくり関連の展示会とは趣を異にするぐらい環境問題が意識付けられた。
08年のリーマンショックが100年に一度の経済危機と言われる中で、現在の地球環境問題は、100年に一度の産業革命に繋がる可能性を秘めている。高効率、高機能を優先的に追求してきた産業界は、これに加え、環境負荷の低減を求められている。オイルショック、自動車の排ガス規制、急激な円高の進展など、日本産業界はこれまで幾多の困難を乗り越え、逆にこれをビジネスチャンスに切り替えてきた。こうした混乱期こそ新しい技術、新しい産業を萌芽させる絶好のチャンスと言える。
停滞している自動車産業も、ハイブリッドカーや電気自動車などにシフトすることで、モーターやバッテリー、充電関連機器インフラなどでの需要が新たに生まれる。
新エネルギーも、ソーラーや風力のほか、太陽熱、地熱、バイオなど多様化が進み、さらにスマートグリッド(次世代送電網)に代表されるITを駆使した電力の高効率制御に伴う関連投資は、今後20年間で1兆ドル以上に達するという調査結果もある。
制御技術が人類の危機を救う可能性も高まっている。LEDは照明用としても市場が広がっているが、工場の中で作物を作るための光源としても普及が進んでいる。また、世界人口の増加が進む中で、水不足対策や上下水道の整備も重要性が高まっており、最新制御技術と投資が求められている。
鉄道技術も注目されている。世界に誇る新幹線技術の評価は定着しているが、一般の鉄道車両技術も高いレベルを誇る。鉄道車両にもたくさんの制御機器と技術が搭載されているが、昨今の環境問題のクローズアップで鉄道への再評価が生まれ、新たな鉄道路線敷設や新車両の生産に繋がっている。
日本は言うまでもなく、地下資源の少ない中で、ものづくりによって国際的な地位を築き上げてきた。環境問題も、いわば資源も何もない中で、日本人の知恵と努力で解決の提案を行うことが新たなビジネスモデル確立に繋がるとも言える。
鳩山首相は20年までに地球温暖化ガスの25%削減を世界に向けて宣言した。この目標達成に向けた努力が、日本の危機を救う大きなチャンスともいえる。