ボックス・ラックの需要裾野は、非常に広いだけに景気の影響を極端に受けづらい製品と言われているが、昨年の世界同時不況の影響はさすがに避けられなかったところが多い。それでも、データセンターや携帯電話の基地局需要などは、さほど落ち込むことなく、堅調に推移した。
今年は昨年後半の回復基調が本格化することが予想され、08年の水準超えが見込まれている。社会インフラ整備と建設着工、情報通信分野を中心とした科学技術関連投資などが進めば十分可能性がある。
標準ボックスは年々、ユーザーの利便性を高めている。短納期、均一な品質、気密性、環境保護、海外規格適合による採用効果のほかにユーザーがこれまで外注していた鉄板加工・穴あけ・塗装の管理を省くことができトータルコスト削減につながることが、不況下で改めて認識され出した。しかも、配線作業の効率化を進めるボックスも増えて、ユーザーは内製化から標準品への切り替えが進む。
一方、ラックも情報通信分野では、付加価値の高いシステム構成ラックの需要が見込め、事務所や工場などでは機密保護に関連した分野が新たな市場として期待できる。
ラックメーカーではカスタムオーダー並みの品ぞろえをする一方で、耐震性、拡張性、施工性、熱対策、EMS対策、セキュリティー、遠隔監視、電源盤との共用性を考慮した製品開発を積極的に行っている。応用範囲の広がりで、ラック市場の将来性は明るい。市場のグローバル化のなかで、ボックス・ラックとも規格の標準化への対応が求められている。