悪夢のような2009年が終わり、新年を迎えた。今回の不況から2つの課題が見えてきた。
一つは不況そのものだが、実態にそぐわないもう一つの経済があり、それが人々を悩ますということ。もう一つは中国など新興国の台頭である。
2つ目の課題についてのみ考察してみることにする。東西の壁の崩壊、天安門の事件から20年、世界に平和が訪れたことはすばらしい。しかし、今度はグローバルになった世界で新しい課題が明らかになった。依然として地域間格差があり、その傾斜が急な分だけ激しい変化で世界経済に襲いかかろうとしている。
嘗て日本もそうだったように、オリンピックを境に開催国は先進工業国に仲間入りした。2008年には北京オリンピックがあり中国の役割は確実に変わり始めた。日本は隣接の国だけに、その変化に大きな影響を受ける。技術の接近、大きな賃金格差、人口規模の違い、為替の問題、どれをとっても深刻な課題となる。今までとは違う枠組み、共存のあり方を考えなければならない。
誰がどこで何を作っても、どんな作り方をしても、それを売るのはたった一つの共通市場である。そうした市場では価格が勝負となり、アイデアが勝負となる。自由主義経済とはそういうもので、目に見えて魅力のある商品に皆が群がり競争になる、そして勝者と敗者に分けられる。それを繰り返しながら進化していく。今回は不況が重畳して見えにくくしているが、実は市場に大きな変化が起こっている。
とりわけ日本では基盤にしてきた産業が、この変化に飲み込まれようとしている。ここは構造改革と思いしっかり事業仕分けをし、新時代に備えなければならない。市場では新しい技術、新しいアイデアが一層求められており、改めて技術開発の重要性が注目される。