過去の不況時はある程度で景気の先が見えたが、今回はいまだに不透明である。不況と産業構造の転換期が重なり、回復時期を複雑にしているが、当社は先を見据えバランス経営を目指す。
今年は、自動車や電機・電子部品、繊維、精密機械など大量生産型の業種は海外生産を加速させる。製造業の海外生産比率は、数年後には4割に達するかもしれない。
国内で成長が見込めるのは食料品、医薬品など内需型産業、新素材や太陽光発電など新エネルギー産業などに限られる。新産業が興るまで経済成長は余り期待できない。
産業構造の変革期は、需給バランスの調整に時間がかかる。在庫調整は進んでいるものの生産設備の過剰感は今年も続き、緩やかな経済成長と予想している。昨年秋から半導体製造装置が動きだしたが、回復と表現するまでには至らない。
そのため設備関連の温度調節器、サイリスターなどの市場は縮小均衡が当面続くと見ている。
このような中で、当社は売り上げが過去の7割で経営のバランスがとれるようにする。その見通しはついた。
今後は新製品を開発しお客様のニーズに対応できる新製品発売や営業に注力する。幸い、当社の方針である「MADE
INJAPAN」に対する評価も高まっている。
国内営業は内需産業向けの販売を強化したい。太陽光発電関連、通信関連では実績が上がってきた。
食品関係、医薬品関係向けも開拓する。このところ特注品の比率が増えているが、ニーズに対応するためコア技術の周辺をカバーするコラボレーションにも取り組む。
また、輸出は現在売り上げの20%を占めているが、30%近くまで引き上げたい。アジアとEU未加盟の地域での販売を強化する。とくに、中国市場は期待している。