新興国市場に向けた活発な需要の開拓により、昨年12月の工作機械の受注額が19カ月ぶりに前年実績を上回るなど、ここにきて産業界にも若干の灯りが見えてきた。一方、制御機器業界では国内市場の掘り起こしを進める動きが強まっており、新エネルギー関連を中心に新市場・新顧客開拓に注力するメーカーや商社の動きが目立ってきた。
工作機械関連では、工作機械メーカーが中国やインドなどアジアを中心に、新興国市場に積極的に営業展開を行った結果、日本工作機械工業会が発表した2009年12月の受注額は、前年同月比62・8%増の600億円となり、実に19カ月ぶりに前年実績を上回った。特に海外向けは新興国を中心に急回復、2カ月連続でプラスとなっており、12月は同96・2%増の421億円となった。
一方、電気制御機器業界は国内市場を掘り起こす動きが目立ってきている。特に、太陽光発電や風力・地熱発電、波力発電などの新エネルギー分野、さらに、プラグインハイブリッドカーや電気自動車などエコカー関連などが、国内市場を掘り起こすテーマとして動きが加速している。制御機器業界の賀詞交歓会でも、これらのテーマに関する話題が多く見受けられた。配電盤関係では、太陽光発電用の制御盤など太陽光発電に関わる大きな物件が各地区で具体化し始めている。例えば、ソーラーパークや大規模なスポーツ施設など、今後、大規模な太陽光発電が導入される施設へ向けての営業が活発化している。
さらに、電力の送電網とITを融合し、電力の供給と利用を効率化させるスマートグリッド構想や、スマートハウスなどの実用化に向けた案件も視野に入ってきている。
スマートグリッド構想に繋がる動きでは、電力会社から送電される交流電力と、太陽光発電システムや燃料電池などで作られる直流電力を、効率良く配電する「AC/DCハイブリッド配線システム」が注目されており、実用化に向けた製品・システム開発が進んでいる。
特に、一般家庭に直流電力を供給することで、現在交流電力を直流に変換して使用しているLED照明器具や換気扇などの電力効率が高まり、CO〓削減にも繋がる。
一般家庭では、太陽光発電システムの採用が増加、直流電力を利用しやすい状況になっている。配電システムメーカーでは、長年培ってきた配線・配電技術や各種のセンサ技術を応用し、ハイブリッド配線システムを実現することで、次世代に向けた配電設備構築への研究開発が進んでいる。
このように具体化が進む新エネルギー関連市場や、スマートグリッド関連市場に向け、これまで制御機器業界とはほとんど関係がなかった業界からの参入も増えてきた。例えば水回り製品メーカーなどで、特に、首都圏を中心にこうした現象が見られるようになってきており、今後、新しい商流の流れや、新市場形成の可能性も出てきた。
一方、エコカー関連では、電気自動車の駆動源として注目されている燃料電池に関して、燃料電池の発電量などを計測するセンサの需要が高まっている。車載向けのセンサは低温や高温などにも対応できなければならず、今後、こうした分野に向けての新製品開発の動きが高まることが予想される。