文化財焼矢続発 消防庁・文化庁が通達開始防犯システム提案の営業活発化

最近、文化財建造物や歴史的建造物などにおいて、火災による被害が続発していることから、消防庁では昨年、各都道府県の消防防災主管や各指定都市の消防長に向け、文化財建造物などにおける防火対策の徹底を図るよう文書で通達を行った。これらに伴い、防犯カメラや関連するセンサなどを取り扱うメーカーの提案営業活動が活発化している。

文化財建造物などの火災による被害がこのところ続発している。07年と08年には神奈川県藤沢市の旧モーガン邸本棟、同じく08年には大阪府吹田市の吉志部神社本殿(重要文化財)、さらに09年になると、奈良県天理市の石上神宮摂社出雲建雄神社拝殿(国宝)、横浜市の旧住友家俣野別邸(重文)、さらに神奈川県大磯町の旧吉田邸が相次いで焼失した。

文化庁が昨年実施した重要文化財に指定された主な建造物と美術工芸品の所有者による防火、防犯対策の状況調査によると、監視カメラやセンサなどの防犯設備がない建造物が全体の53%に上るなど、十分な対策が取られていない実態が浮き彫りになった。

これらの文化財建造物などは、かけがえのない文化的財産である。このような被害を防止するため、消防庁では、各都道府県の消防防災主管部長や指定都市の消防長に向け、文化財建造物などへの防火対策の徹底を通知したもの。

具体的な通知内容として、建造物などへの巡視の励行、防犯カメラや炎センサの設置、敷地内への入場管理、建造物周辺の可燃物管理など防火対策の徹底を図ること、さらに通報や初期消火など火災発生時の初期対応を、確実に実施できる体制の確保などを挙げている。

また、防犯対策費は基本的に所有者が負担しなければならないが、文化庁では「費用の最大85%を国が補助する制度もあるので、地元の消防署や警察とも連携して対策を進めてほしい」と所有者らに呼びかけを行っている。

一方、こうした動きを受け、センサメーカー側でも重要文化財や歴史的遺産の防犯に向け、各種の営業活動が活発化している。

先日開催されたあるメーカーの展示会では、実際の製品を展示するとともに、「火災・放火防止屋外用炎センサ」や「ワイヤレス放火監視システム・防犯カメラ」など、一連の防犯システムの提案・プロモーションを大々的に行っており、多くの来場者が関心を寄せていた。

このほかの関連メーカーでも防犯分野やセキュリティ分野向けへの関心は高く今後、こうした分野での新しいアプローチ、新しいアプリケーションが拡大しそうである。

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