安川電機は、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)用に、高出力・高効率のモータドライブシステム「QMETドライブ技術」を開発した。QMETドライブ技術は、同社独自の電子式巻線切替え技術によって、モータの制御を最適に行い全速度領域で高い出力と効率の良い走行を可能にする。
QMETドライブは、自動車用のモータと、それをコントロールするインバータで構成。モータは1台で、低速域で高トルクと高速域で低トルクの2つの特性を併せ持っており、これにより定出力を広範囲で確保しながら、低速から高速までのトルク変動を感じさせないスムーズな加減速を実現できる。
これを実現したのが電子式巻線切替え技術とモータの磁石配置の工夫である。
電子式巻線切替え技術では、切替え時の変動が運転感覚に直接影響するため、半導体パワー素子を使った超高速切替えと、新開発の電流制御技術を組み合わせることで、まったく違和感のない自動車の加減速となっている。
モータも産業用の小型・高効率なIPMモータベースに、従来のモータが永久磁石の配置を、ほぼ同じパターンで行っているのに対して、QMETドライブでは自動車用に磁石の配置位置と形状を変えている。これは、自動車用のモータの1回転方向(正転)での効率を重視したもの。
同社では昨年3月、マツダのハイブリッドシステム搭載の水素ロータリーエンジン車向けに共同開発している。
QMETドライブは、EV、HEVといった電動車両向けの事業拡大に弾みをつけていくものと期待している。