昨年は、世界的不況が制御機器業界全体に影響を及ぼしたが、日本の産業が全滅した訳ではなく、今年は内需も上がってくると思われるので、こうしたチャンスを確実に捉え成果に結びつけていきたい。このためにも、今年は企業の根幹である人材の育成に最大の注力を払っていきたい。
ビジネスは人であり、人の集合体が企業である。立派な企業人になるためには、まず教養を備え、深みのある人間でなければならない。今年はこうした企業人を育成するため、サブテーマを「教養育成」と定めた。
教養は単なる知識だけでなく、知恵や文化的な要素なども含めた総合的なもので、文化の創造にも繋がるところである。社員の方々には、このように幅広い教養を身に付けた企業人として臨んで頂きたい。
当社は5年前から、長期テーマ「顧客感動」を掲げてきたが、この一方で顧客を感動させるために、社員一人ひとりの内面を充実させるような取り組みを重視してきた。
また、厳しい状況下において顧客が仕入先を選ぶ時代となっている。メーカー、商社問わずしっかりとした信念を持って経営を行い、業界全体の発展を考えて行動するような企業集団を作らないと、顧客からの信用は得られないだろう。このために技術面やビジネス面など、協力し合える部分があれば協力し合うことも必要と考えている。
さらに、私がここ数年来提起している「ビジネスから手形を無くす」ということも進めていきたい。手形とは支払を先に延ばすための証券である。経済が低迷する中、支払期日までの倒産を想定するとリスク以外の何者でもない。価格と支払は一対の経済活動である。企業の不足資金は金融機関が支え、ビジネスの健全な成長を阻害する手形をなくすことを提起していきたい。