日本経済はまさにどん底を昨年は経験した。中部地区は自動車、工作機械関連業界で成り立っていると表現しても言い過ぎない特殊性がある。リーマンショック前まではこれらの産業が牽引し、ITバブル崩壊時には他の地域より影響が軽微であったことを考えると、世の中うまく出来ているもので、結局長い間には平準化される。
昨年は激震が走り、中部地区製造業は操業停止や週休3~4日制に追い込まれたところも少なくない中で、当社はアミューズメント関連向けコネクターなどが堅調で、12月期売上高は横バイで済んだ。
今年の景気も引き続き不透明さが続く。雇用減少、個人消費の低調、製造業の生産海外移転、デフレなどを考慮すると、良い材料が見当たらない。景気回復は相変わらず輸出依存である。とくに中国など新興国向け輸出に依存しており、為替変動次第では景気が二番底に突入する最悪の事態も予測して経営する。
今回の不況は、日本の経済を引っ張る産業の仕組みが著しく変わる転機になる。オイルに頼ってきた自動車と、自動車産業を主要顧客にする工作機械に代わり、環境、省エネ、新エネルギー、健康、環境、食料関連の産業が主導する世の中になると思う。自動車産業もエレクトロニクスの塊であるハイブリッドカー、電気自動車が普及する時代になった。
先行きは新しい産業構造の社会が登場するが、当社としては新時代に合わせた次世代の企業体制を作り上げるのが今年からの課題である。
そういう意味では、再度創業期に戻った気持ちで事業の構築にじっくり挑む非常に重要な1年に今年は成る。
グループ会社の東京・一弘電機との連携を強化し、お互いが相乗効果を挙げられる仕組みを作りたい。