オムロンは、国内需要の回復と中国市場が順調に推移していること、さらに固定費の圧縮による収益対策効果が進んだことで、2010年3月期の連結業績予想を上方修正し、純利益が30億円の黒字に転換する。また、1月28日開催された取締役会で、スイッチ事業を連結子会社のオムロン倉吉に会社分割で承継、さらに車載電装部品事業を会社分割し新たに設立する会社に承継することをそれぞれ決定した。
同社の業績は、国内及び中国を中心とした生産の回復により、主力の制御機器事業の需要が増加、さらに健康医療機器事業が堅調に推移していること、また固定費支出の圧迫を主とした収益対策効果が功を奏したことで順調に回復を見せている。
10年3月期の第3四半期決算は、売上高3705億500万円(前年同期比25・7%減)、営業利益10億1500万円(同93・9%減)、税引前純利益1億9100万円(同98・7%減)、純損失6億7000万円となり、売り上げ利益とも前年同期比を下回っているものの、乖離幅は縮小している。営業利益も第2四半期に続き、第3四半期も黒字を達成しており、改善している。
同社では、世界的な景気後退は第2四半期で底を打ち、第3四半期から回復傾向にあるとしており、第4四半期(1月~3月)も緩やかながら回復傾向が続くと予想。今回発表された修正値は、昨年4月に予想した数値よりも売上高で100億円増の5200億円、利益面は営業利益100億円増の100億円、税引前純利益は損失35億円の赤字予想から90億円増の55億円、純利益は損失20億円から50億円増の30億円の黒字予想となった。また、同社はグループで構造改革に取り組んでおり、スイッチ事業については昨年11月に発表した同事業の強化方針に伴い、グループ各社に分散している企画・開発・生産の各機能を統合した事業運営を構築する。
4月1日付けで連結子会社のオムロン出雲を、存続会社であるオムロン倉吉に吸収合併し、社名を「オムロンスイッチアンドデバイス」に変更。本社も岡山事業所内(岡山市)に移転する。なお、分割するスイッチ事業の09年3月期の売上高は208億円となっている。
車載電装部品事業も、昨年7月に発表した強化方針に伴い、オムロンのオートモーティブエレクトロニックコンポーネンツカンパニーが担当する同事業を会社分割により5月6日付けで新たに設立する「オムロンオートモーティブエレクトロニクス」に承継する。分割する同事業の09年3月期の連結売上高は821億円である。両事業の分割による連結業績に与える影響は軽微としている。