タイコーデバイス(栃木県大田原市上石上字東山1843―6、tel0287―29―3355、岡清孝社長)は、パナソニック電工との資本関係を強化するため、古川勇会長一族など既存株主の保有株式を譲渡した。パナ電工は1月29日までにタイコーデバイスの発行株式の85%を取得しており、3月中には全株を取得予定。
これにより同社はパナ電工の完全子会社になる。パナ電工からの役員の受け入れ、社名の変更などを含めて、6月の株主総会までに決める。
タイコーデバイスは、車載用のリレー専業メーカーとして、プリント基板用リレーで世界のトップグループの1社。
2008年にパナ電工に第3者割り当て増資を実施、約14・9%の出資を受けるとともに、パナ電工の車載用リレーの生産も受託している。リーマンショックに伴う自動車の生産台数の減少により、09年下期は大きく落ち込んだが、電気自動車(EV)やハイブリッドカーなどの需要増や中国での自動車生産台数の増加で、生産が急速に回復している。
しかし、市場のグローバル化の中で「自動車向けリレー需要の増加に伴う生産・販売体制の拡充と、競合との勝ち残りという戦略上、パナ電工グループ入りが必要」(岡社長)と判断したもの。
タイコーデバイスは、車載用プリント基板リレーの世界シェア10%、パナ電工は、EV用をはじめ車載用リレーでもトップグループで、両社を合わせると車載用リレーでは15%以上のシェアを握りトップになる。
なお、タイコーデバイスは現在、大田原本社工場、中国の子会社・泰康電子(深圳)で過去のピーク時を超える月1500万個体制で生産を行っている。