富士電機ホールディングスは、電源やインバータをはじめとする電力変換装置の電力損失を大幅に低減させた、新しいマルチレベル変換回路「新3レベル変換回路」と、これに搭載する専用の「パワー半導体モジュール」を開発、高効率電力変換システムのプラットフォームを構築した。
これを今年4月から数10kVA~数100kVAクラスの無停電電源装置に搭載して、省エネ効果の高い製品ラインナップを強化する。また、2010年度下期には、太陽光や風力など再生エネルギー用パワーコンディショナーなど同容量クラス全ての電源装置をこの回路に置き換えながら、その後順次、車両用やインバータ装置にも展開し、同社グループの製品に広く応用していく計画。
従来のIGBTは、逆方向の電流をブロックするためにダイオードとIGBTを直列に接続する必要があった。同社の逆阻止IGBTを採用することで、ダイオードとIGBTの直列接続が不要とし、3レベル変換専用パワーモジュールと組み合わせることで変換回路の損失発生を大幅に抑制した。特に変換効率が重要になる太陽光発電用パワーコンディショナー等では発生損失が約40%低減でき、100kWクラスの装置において、二酸化炭素削減量に換算すると約3トンの削減となる。
また、3レベル化により正弦波に近い波形が出力できる。さらに、スイッチング周波数を従来の半分に、スイッチング損失も半減するほか、電力変換回路で本質的な課題である電磁ノイズも半減する。