スイッチ技術専門委員会(主査=IDEC松本敦氏)は、「国内のスイッチ事業の技術的内容調査、及び国際標準への新規・改正提案と国内への導入」を主な目的に活動している。現在10社が参加して毎月委員会を開催しており、すでに195回と、もうすぐ200回に達する。
スイッチ技術の革新が世界的に進展する中で、「国際規格に対して受身から提案型にしていく活動を強めており、3~4年前からはIEC規格とJIS規格との整合化が活動の中心となってきている」(松本主査)。
その代表的な活動が、「3ポジションイネーブルスイッチ」のIEC規格化だ。
IEC60947―5―8として制定されたこの規格は、日本から提案したスイッチの国際規格の第1号として2006年10月に作られた。
NECAの制御安全委員会活動での基準認証研究開発事業の一つとして取り組まれたことで、IEC規格化に繋がった。
3ポジションイネーブルスイッチは、ロボットなど危険が伴う作業用に開発したもので、緊急時にスイッチ操作部を強く握るか手を離すかで回路が切断され、その中間の軽く押した操作で回路が入るもの。
「人間工学的に、大人、子供などの握力の違いといった加重力を委員会の中でディスカッションしながら検討した」(松本主査)と言う。
03年5月のIECの提案以来、約3年半でIEC規格化された。09年12月には、JISC―8201―5―8としても発効している。
一口にスイッチと言っても色々なタイプがあるが、日本では日本電機工業会(JEMA)がこうしたスイッチの国際規格化への国内委員会の窓口となっており、NECAや日本配電制御システム工業会などの関係工業会が分担して検討を進めている。
スイッチ技術専門委員会では現在、JIS
C4526(IEC61508―1)機器用スイッチの見直し作業に取り組んでいる。マイクロスイッチ、トグルスイッチなどが該当するが、IECの08年版を和訳しJISとの整合化を図る。
そのほか、JIS
C―8201―5―1(IEC60947―5―1)の追補版も検討している。
松本主査は「まだまだたくさんのテーマがあるが、JISは案を作って発効まで時間がかかるのに対し、IEC規格は簡潔に審議し、制定までが早い。国際競争に勝つためにはこの点も課題である」と語っている。