需要回復示すFAセンサー 半導体・HPD製造装置、電子部品実装機向け投資復活 太陽光発電・安全関連など新分野も伸長 非FA分野にも用途拡大交通、防犯などで大きな期待

水検出センサーでは、検出能力向上のため、従来10ミリWだった出力を100ミリWに引き上げ、目で見ても安全なハイパワーのレーザーを搭載することで、発熱や波長の不安定さを取り除き、量子効率を上げ、不透明容器内の水、及び水を含む液体を確実に検出する製品も登場している。

近接センサーは、耐環境性が良く、高温・多湿、防爆雰囲気、水中など、他のセンサーにはない独自の特徴から、工作機械、ロボット向けなどを中心に光電センサーとは異なった市場・用途を形成している。

最近では、振動や衝撃による緩みを防止できるタイプや、6ミリ角の超小型タイプも製品化されている。また、新たな動作原理の開発やオールメタルタイプも増え、検出物体の制限はより小さくなっている。これにより金属体、非金属体の混流ラインでも使用できる近接センサーとして新しい市場を開拓している。

検出距離は、数ミリから数ミリが一般的だが、300ミリぐらいまで対応できるタイプが製品化されているほか、リニア近接タイプでは検出距離を0、50、100ミリと調節することができる。使用周囲温度についても、120℃などの耐熱性タイプがある。そのほか、近接センサーの磁気検出方式を応用したものでは傾斜センサーがあり、磁気式のほか光式、メカニカル式などがある。また、0~360度までの回転角度の位置を4~20mAのアナログ値に変換して出力できる近接センサーも発売されている。

バルブの開閉状況確認など、従来はポテンショメーターなどを使用していた用途でも、高周波を使った分解能0・4度の非接触式の検出による特徴から、今後の需要拡大が期待されている。

最近では超音波を利用し、液晶のフィルム基板や透明シートのエッジ検出を行うエッジセンサも開発され、アプリケーションが拡大している。

安全対策用センサーは、安全重視の思想が国際的に広がる中で需要が拡大している。エリアセンサーやマットスイッチ、ライトカーテンなど、接触式、非接触式など多様なセンサーが使用用途に応じ使い分けされている。さらに防犯対策の高まりから、各種の防犯用センサーも伸長している。

安全センサーの応用製品で、外部ハウジングにテープスイッチを内蔵したセーフティエッジセンサーは、エレベーター、車両、住宅ドア、高速シャッタードアといった自動ドアや、各種機械類の挟まれ防止、医療機器などの非常停止、無人車両などの衝突感知センサーとして採用が増えている。

ロータリーエンコーダーは、回転角変位をデジタル量に変換するセンサーで、工作機械、加工機械、ロボット、半導体製造装置、検査装置などのセットメーカーのほか、自動車関連、電気・電子、機械・精密の生産ライン向けも堅調に推移しており、車載関連や建設機械、防爆関連、介護用ロボットなど新規需要も拡大している。

圧力センサーは、小型・軽量化、使い勝手の良さ、低価格化、耐環境性や温度特性の向上などの改良が進んでいる。ミストを含んだ空気、水、油など、流体や環境を選ばないハイエンド圧力センサーなども登場し多分野で採用されている。

産業用途での主な需要先では、プロセス制御や工業計測などの分野があり、圧力で制御したり、圧力を計測するといった基本機能を中心とした使い方が多い。

そのほか、新規市場では半導体抵抗素子や静電容量素子を用いた電子式圧力センサーの需要が拡大している。

レベルセンサーは、液面や粉体面のレベルが設定レベルになった時に信号を出力するセンサーで、一般的にタンクや容器内の内容物のレベルを検出する用途が多いが、河川や湖沼の水位・水量測定、下水や排水の液面測定などにも利用される。最近では河川の水位・水量測定で、災害防止の観点から設備を強化する取り組みが行われており、そこではレベルセンサーが重要な働きをしている。

さらに、自動車などのオイル系統の管理に採用されているほか、外食産業用にも採用され、新規市場への浸透が進んでいる。ユニークなのは、レベルセンサーに温度センサーを内蔵して一体化することで、スペースの削減とトータルコストの低減を実現したものも注目されている。

流量センサーの需要も上がっている。高温液体を使用する金型温調器の流量管理、冷却水を使用するダイカスト金型や、焼き入れ装置のコイル冷却水の流量管理、ビンの洗浄に使用される精製水の供給管理、純水や薬液を使用するウエハー洗浄液、基板洗浄液の供給管理などの分野で需要が伸びている。

流量センサーの検出方式は、羽根車式が一般的であるが、最近では電磁式のデジタル流量センサーが登場し注目を集めている。羽根車式は、羽根の回転により流量を検出するが、軸が破損したり、流路に鉄粉や錆が詰まり検出できなくなることもある。

半導体や液晶の製造工程分野では、基板などますます大型化するガラス素材の表面コーティング斑(むら)を、確実に検査するニューロ視覚センサーが登場している。ガラス自体のたるみやラインの振動に負けずに確実な検査が行えるセンサーシステムで、ハイエンドながら第7世代、第8世代と大型化する基板に対応するセンサーとして、今後注目されるべきセンサーの一つである。

ロボット関連では、知能ロボット向けに「小型・軽量・省電力」というテーマを満たす測域センサーの開発が進んでいる。測域センサーは、周囲の障害物などの状況を把握するセンサーで、知能ロボットには必要欠くべからざるセンサー。レーザー光線で対象物までの距離を測定し、270度の視野に対して自分を中心とした平面地図のような測域情報を得ることができる。

また、ロボットアームなどを中心に動き続ける運動体の角度や角速度が容易に検出できるジャイロセンサー内蔵のスイングセンサーなども発売されている。チャタリング防止や僅かな立ち上がりの検出なども可能である。

そのほかFAセンサーの堅調な市場として物流業界が挙げられる。

物流業界はFA分野と非FA分野両方の領域を兼ね備えており、バーコードリーダーやRFIDなど、自動認識関連のFAセンサー需要が拡大している。

一方、非FA分野では、有料道路のETC(料金自動収受システム)や、鉄道などICカードを採り入れた自動改札システム、さらに、各種防犯設備などで市場が拡大している。特に各種の赤外線を使った人体検出センサーは防犯効果が高く伸長が著しい。

今後は、MEMS技術を応用したセンサーなどに期待が集まるが、最近では製造ラインやエアコンなどの機器、自動車などから発生する音や振動エネルギーの異常振動を察知し、不良品の検出や予知保全に応用するシステムが開発されており、FAセンサーに求められる期待はますます大きくなっている。

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