Fa用センサー市場は、09年度第1四半期(4~6月)を底にして順調に回復を見せている。NECAの検出用スイッチの出荷統計では、08年度第3四半期単期234億円(前期比81・1%)、同第4四半期151億円(同64・7%)、09年度第1四半期146億円(同97・1%)、同第2四半期188億円(同128・5%)、同第3四半期235億円(同124・8%)となっており、順調に回復を見せていることが伺える。
市場は、工作機械関連、自動車製造設備関連の動きはまだ鈍いものの、半導体・FPD製造装置関連での投資が順調に回復している。半導体・FPD製造装置関連は、日本半導体製造装置協会による日本製装置の受注額のBBレシオでは、昨年4月は0・44であったが、以降0・67、1・28、1・36、1・47、1・31、1・31、1・22、1・30と月ごとに上昇して、受注が活発化している。
また、大きな市場である工作機械の販売金額は、日本工作機械工業会の販売統計によると、03年(1~12月)から07年度までは5年連続で大幅に増加したが、08年は3・8%減の1兆2673億円、09年は1~11月の累計では4348億円というように非常に厳しい数字で推移しており、回復が遅れている。
一方、ロボット関連市場も日本ロボット工業会による統計では、09年の第3四半期の受注額は7四半期ぶりにプラスに転じ、前年同期比10%増の732億円となった。生産面ではハイブリッド車や電気自動車などの伸長と、電子部品実装関連市場や半導体関連市場の動きが活発でロボット需要が上向いており、ロボット工業会では今年は緩やかに回復、11年は本格的に回復すると予測している。
また、食品・医薬品・化粧品の3品業界は、依然として堅調な動きを見せており、FAセンサーの需要も順調に拡大している。食品や医薬品などの製造ラインでは各種の認識・識別センサーの採用が拡大しており、各センサーメーカーでもこうした分野に向け、新製品を積極的に投入している。
また、太陽光発電関連の動きも活発化している。鳩山首相が「20年までに地球温暖化ガスを95年比で25%削減する方針」を打ち出したことで、太陽光発電を導入・計画する動きが各地で加速している。こうした動きを受け、早速「太陽光発電プロジェクト・チーム」を立ち上げる商社もあり、この分野にかける期待が高まっている。さらに、麻生内閣時に「温暖化対策の一環として全国の公立小中学校に太陽光発電の導入を図る」という施策も発表されるなど、電気事業連合会や日本電機工業会などの太陽光発電関連団体も、太陽光発電の普及拡大に向け積極的な活動を開始している。
すでに、国内の電力メーカーが本格的な太陽光発電所建設に動き出しているほか、各公共施設、工場、ビル、倉庫、大規模店舗、ソーラーハウスなどで太陽光発電システム導入に向けた動きが活発化しており、FAセンサー分野にも大きな需要が見込まれている。
08年度のNECA統計から、検出用スイッチの出荷高をセンサー種類別で見ると、光電センサーが約300億円で検出用スイッチの中で最も割合が高い。続いてマイクロスイッチが約160億円、近接センサーが約120億円、リミットスイッチが約120億円などとなっている。また、検出用スイッチの主な産業分野別需要では、半導体製造装置が約100億円で最も多く、続いて工作機械約60億円、運搬機械約50億円、自動車製造設備約50億円、ロボット約15億円、食品・包装機械約20億円となっている。
FAセンサーの代表的製品といえる光電センサーは、LEDや半導体レーザーを光源にした非接触センサーで、検出方式は透過型、回帰反射型、拡散反射型などがある。長距離検出には透過型が最適である。回帰反射型は、透過型で必要だった投光部と受光部の配線が不要で、配線工数や設置工数を半減できるメリットがある。そのほか超小型ヘッドで取り付けスペースが小さいアンプ分離型、DC電源で使え応答速度が速いアンプ内蔵型、AC電源で使え取り扱いが容易な電源内蔵型、取り付け場所を選ばず微小物体も検出できる光ファイバー式などがある。FA分野では、隙間などにも取り付けられ、光ファイバー部を交換するだけで様々な用途に対応できる光ファイバー式のアンプ分離型の需要が多い。アンプ部を共通とし、光ファイバー部を用途ごとに多数そろえることで、幅広い用途展開に対応している。
半導体や液晶製造装置では、微小物体検出用として、高精度、ローコスト、取り扱いやすいなどの理由から光電センサーの使用個数が増加、大きな市場を形成している。微小物体検出用では、これ以外でも小型化が進む機器の組み立て装置分野や、小型電子部品の製造装置などでも大きなニーズがある。
小型化と長い検出距離、高い保護特性などが著しく、検出距離50メートル、保護特性IP69Kといった製品も登場している。取り付けも端子台やアタッチメントなどを使用しているものが多いが、最近は埋め込み取り付けが可能なタイプも出ており、より狭小な場所にも取り付けが可能になっている。
食品機械などの光沢検出、包装機械などでのマーク検出といった分野では、従来品を改良し、より精度の高い検出を実現した製品の開発が進んでいる。関連する光電センサーでは、カメラ、照明、カラーモニターを一体化したローエンドの色面積センサーなどがある。同センサーは、印字有無判別、シール有無判別、シール異種混入判別、文字認識などが容易に行える。
化粧品・薬品・食品などいわゆる3品業界では、このようにユーザーのニーズに合わせた用途限定センサー、提案解決型センサーといった専用センサーの需要が高まっている。ある限定された検出項目だけに対応することで余分な機能を省き、その分ローコストである。中でもローエンド画像センサーは、このところ各センサーメーカーが販売に注力している。また、食品分野は食品偽装問題や製品安全対策向上の観点から、トレーサビリティを念頭に置いた需要が高まっている。人間の目以上の精度で確実に検査できることは、トレーサビリティを推進する上で重要な不良品防止に繋がり、一層効果を発揮する。こうした効果への期待から、各企業で検査工程の自動化投資に意欲的に取り組むところが増えている。
最近の光電センサーは、オートチューニング機能など使いやすさを追求した機能が一般化している。また、多点制御や差動検出など入光量をアナログ的に制御できるアナログ出力の光ファイバー式光電スイッチなどもある。さらに、アンプ内蔵型では小型化が著しく、相互干渉防止機能などにより密着取り付けしても誤動作を解消できるようになっている。
最近登場のデュアル感度補正機能は、ファイバー先端で汚れによる光量低減が生じても自動的に感度を補正するだけでなく、先端部の清掃を行った後も自動で元の感度に復帰するもので、再ティーチングの必要がないという特徴を持つ。ピッキング用として、使用する距離によってリフレクタ形と拡散反射形が選択できる薄型ワイドセンサも好評である。省スペースで高輝度の大形表示灯が付いており、ピッキング作業の効率化が図れる。
また、あらゆる対象物のインライン形状計測を実現した2次元形状計測センサーも画期的である。帯状に広げたレーザー光を対象物に照射し、その反射光をCCDで撮像し、断面形状を計測する非接触型センサーで、撮像情報から形状のプロファイルを生成し、対象物の断面形状(2次元形状)から、高さ・段差・幅・位置・交点・傾きなどの寸法形状を瞬時に計測する。