配電制御システム業界も需要減に見舞われているが、内需関連として7000億円前後の出荷額に達している。この業界向け制御機器関連需要は2000億円を超える規模があり、先行きも新エネルギー、省エネルギー、植物工場、農園芸施設で配電制御システム需要の拡大が期待されている。制御機器各社は、魅力的な内需型市場と位置づけ販売攻勢をかけている。
特別高圧・高圧配電盤、低圧配電盤、産業用分電盤、住宅用分電盤、監視制御装置、その他の開閉制御装置の出荷額は経済産業省の統計によると、2008年度で6989億円に達している。
09年度は受注環境の悪化で減少するものの約6000億円が予測されるが、統計に参加していない企業も多く、実態は7000億円を超えると推定される。
この配電制御システム市場向けには筐体、配線資
材、端子台、配線ダクト、電源トランス、PLC、リレー、操作用スイッチ、計器、遮断器、インバータなど、合計で5000億円前後の規模がある。制御機器だけでも2000億円を超える。
市場は成熟段階にあるといわれているが先行き安定成長が期待でき、太陽光発電や風力発電など新エネルギー、省エネルギー、ハイブリッド・電気自動車充電、植物工場や園芸施設、緑化関連などで新規拡大が見込まれている。
生産設備リニューアル需要も出てきている。改正省エネ法で電力監視を工場単位から機械単位で行う方向にあり、配電盤・制御盤・操作盤などの更新需要が増えている。
配電制御システム各社では、こうした分野での受注に意欲的であり、太陽光発電、植物工場、園芸施設の開拓へ制御機器メーカーなどとプロジェクトを編成し、顧客開拓に乗り出しているところもある。
安定成長が見込める市場に対し、制御機器各社はこの不況下で従来の営業戦略を見直し、内需産業の重点拡販業種として再び販売攻勢に出ている。
あるメーカーは商社同行で営業展開をしており、また、配電制御システム会社の顧客を訪問し自社製品の指定獲得へ乗り出している。
別のメーカーは、製造工法の改善や製造品自体への通信技術・省配線化などに積極的に取り組む配電制御システム会社と、エンドユーザーの三者による協働化も視野に入れ出している。
配電制御システム業界は小規模企業も多く、発注も商社を経由するのが大半である。それだけに、制御機器各社は商社依存度を高める営業政策を取らざるを得なく、シェアアップには商社との関係強化が重要になりそうである。