一昨年からの不況は否応なしに構造の変革をもたらしているようだ。これまで2次、3次下請け製造業として使用した製造設備と人の再利用へ受託生産を標榜する会社が増えてきた。単なる生産を受託するのではなく、開発から請け負う傾向になっている。設備と人材の両面で如何に優れているかを競っている▼こうした受託生産企業の多くは量産技術を強調している。ある会社は音響機器で年間100万台以上を生産してきた実績を踏まえ、アジアでの生産設備を誇示している。アジア市場進出を目指す製造業の投資額抑制には確かに効果は上がるが、国内で小ロット対応の受託生産を行う方が固有の技術を活かせるし海外流出を防げるのではないかと一面思う▼製造業の範疇(はんちゅう)が広がる時に来ており、ニッチ市場がこれから創造される。海のものとも山のものとも分からない製品を開発し販売するにはリスクを避ける意味合いから、生産を委託する。市場創造においては先発製品の生産量を小規模にするので、市場開拓段階では人材の投入や生産設備の導入を控えざるを得ない▼日本ではイノベーションは技術革新と訳されているが、中国では「創品」と聞いた。この漢字を当てはめた方が理にかなっているように思えるが、そのときに活躍するのが小ロット受託生産企業であり、存在価値は高い。
分岐点
オートメーション新聞は、1976年の発行開始以来、45年超にわたって製造業界で働く人々を応援してきたものづくり業界専門メディアです。工場や製造現場、生産設備におけるFAや自動化、ロボットや制御技術・製品のトピックスを中心に、IoTやスマートファクトリー、製造業DX等に関する情報を発信しています。新聞とPDF電子版は月3回の発行、WEBとTwitterは随時更新しています。
購読料は、法人企業向けは年間3万円(税抜)、個人向けは年間6000円(税抜)。個人プランの場合、月額500円で定期的に業界の情報を手に入れることができます。ぜひご検討ください。
オートメーション新聞/ものづくり.jp Twitterでは、最新ニュースのほか、展示会レポートや日々の取材こぼれ話などをお届けしています
- 次の記事へ2010年3月24日
分岐点