2010年度の重電機器の国内生産が3年ぶりに前年度を上回り、110・7%の3兆3451億円になる。08年秋のリーマンショック以降落ち込んでいた重電機器であるが、ようやくプラスに転じる。しかし、国内需要は依然低調で、輸出依存の傾向は継続しており、07年度のピーク超えまでにはしばらくかかりそうだ。
日本電機工業会(JEMA、西田厚聰会長)は、電機機器(重電/白物家電機器)の09年度生産実績見込みと10年度生産見通しを発表した。
重電機器の09年度生産は前年度比83・6%の3兆229億円で、2年連続前年度実績を下回る。当初の見通しは同86・1%の3兆2464億円であったが、それを約2200億円下回る見込みで、特に汎用インバータ、サーボモータ、PLC(プログラマブル・コントローラ)などの産業用汎用電気機器が当初見込みより約1700億円落ち込むのが大きな要因。中国を中心としたアジア向け輸出は回復してきたものの、国内の設備投資が一進一退の状況が続いている影響で、サーボモータは同67・1%の934億円、汎用インバータは同69・4%の523億円、PLCは同65・7%の744億円と大幅な減少になる見込み。
これに対して、発電用原動機(蒸気・ガスタービン)、発電機、大容量変圧器などの重電機器の受注生産品は手持ちの受注に支えられ同89・5%と比較的堅調で、特に発電用原動機は同101・1%と前年度を上回る見込みである。
10年度生産見通しは、前年度比110・7%と3年ぶりにプラスに転じ、2桁の増加が見込まれている。
産業用汎用電気機器は、09年度の急激な落ち込みからの反動増と中国を中心としたアジア向け輸出の回復により、同121・1%と2桁の伸びを見通している。サーボモータは同148・8%、汎用インバータは同124・7%、PLCは同125・9%といずれも30%前後の高い伸びを見込んでいるが、国内市場は民間設備投資、建築着工等に不透明な部分も多く、輸出依存の状況が続きそうだ。
電力用機器は国内外ともに堅調に推移する見込みで、海外では新興国を中心とした電力需要に支えられた発電用原動機が、国内も送変電設備を中心に老朽化設備の更新需要の継続が見込まれ、重電機器の受注生産品は同104・7%とプラスを維持する。
西田会長は「重電機器の生産は、07年度対比ではまだ13%のマイナスであり、本格回復とは言えない。国内外での電力投資は活発であるが、きつい円高の中で海外勢との競争力は落ちてきている」と語っている。
なお、電機機器全体の生産は、09年度が4兆5986億円(同86・2%)と2年連続でマイナスとなる見込み、10年度は4兆8948億円(同106・4%)と3年ぶりに前年度を上回る見通しである。