関連ソフトウェアも充実化しつつある。ウインドウズ統合環境として、核となるソフトウェア上にラダーロジックテストツールやモニターソフト、データ変換ソフトなど、各種のオプションソフトを追加することができる機種が登場した。これにより、機能的なシーケンス制御が可能になる。
このほか、ソフトウェアのラインアップには、パソコン上で動作画面の確認を行うことで、設計工数の削減を目指すデバッグ用のパッケージソフトなどが評価を得ているほか、PLC用のFA機器接続ソフトウェアなどもある。このソフトを利用し、電気設計用CADやSCADAソフト、通信用ソフトをパートナーのソリューションプロバイダーが開発するケースもでてきている。また、出力パルスレートが最大5Mbpsを実現し、リニアモーターやダイレクトモーターなどを高精度制御する新しい位置決めモジュールも市場に登場するなどソフト面の充実が進んでいる。
プログラミングツールを、無償でダウンロードできるサービス提供を行っているメーカーもあり、PLCのソフトウェアを取り巻く環境も変わりつつある。
設備のセキュリティ対策や機械安全のためにPLCのCPU二重化や、データ伝送経路の二重化を取り入れるところがでてきた。電源・CPU・ベースを含めた基本システム全体を二重化することにより、制御系で故障が発生した場合でも待機系に制御が切り替わりシステムが継続的に運転できる。
機械制御、モーション制御、計装制御など求められる用途が広がるPLCであるが、さらに求められている機能として安全制御が加わってきた。従来のリレーなど使ったハードワイヤーから、PLCによる電子化した安全制御を実現しようというもの。
工場などで使われるPLCは、故障などのトラブルがあってはならないが、とりわけ危険な機械制御などで使われるPLCには、特に安全対策が求められることになり、CPU、通信の二重化はもちろん、OSレベルから異常を常にチェックすることで、安全な機械制御が可能になる。
この種のPLCは、機械の安全対策が進んでいる欧米のメーカーが先行していたが、日本メーカーも販売を始めている。
最近発売されたPLCでは、ユニバーサルデザインをアピールしている製品がある。ユニットに印字されている文字を識別しやすい字体に工夫したり、入力ユニットと出力ユニットの配色を変えて区別しやすくしたりして、使う人に間違いを犯さないような配慮を行っている。
PLCの世界市場規模はリーマンショックで大きく減少しているが、中国を始めとしたBRICsやVISTAなどの新興国諸国の経済発展がPLC需要を牽引して拡大に繋がるのは確実と言える。化学、セメント、金属、薬品、繊維などの産業に加え、新エネルギーや省エネルギー、ビルオートメーションなどに、これらの新興国は国を挙げて取り組もうとしている。市場のグローバル化は規模を追う競争とも言え、PLCメーカーにとっては体力勝負の面も強まる。
ハード面では一層のコストダウン対応が求められる一方、グローバルサポートといったサービス面での充実も必要になる。
国内についてもエンジニアリングサービスの充実に向けた、コンサルティング対応の拡充やリモート診断といったきめ細かな対応が必要になってくる。
PLC需要の裾野拡大で今後は極端な落ち込みは少ないものと予想され、安定市場のなかでの差異化した開発と販売取り組みが進みそうだ。