三菱電機の2010年3月期連結決算が、産業メカトロニクスや電子デバイス部門の好調を背景に、当期純利益が前回発表の200億円の赤字から一転して250億円の黒字になる。売上高も予想から300億円増加して3兆3300億円になる。
今回の上方修正は、アジアを中心とした設備投資需要や各国政府の景気刺激策の効果が想定を上回り、産業メカトロニクス部門、電子デバイス部門の売上高が前回予想から増加する見込みのため。
産業メカトロニクスの売り上げは、予想から600億円増加して7300億円になり、前年度比86%まで回復する。自動車機器は買い替え促進策で12%増加し、FA機器もアジア地域を中心にFPD(フラットパネルディスプレイ)や半導体製造装置向けの販売が好調で5%増加している。
「FA機器の受注は、09年10月以降前年同期比100%を超えて月を追うごとに回復しており、今年1月は同1・7倍に、前期最低であった2月は同2倍となっている」(同社吉松裕規常務執行役)。営業利益も予想より180億円増加して250億円と前期の50%の水準まで回復する。また、電子デバイスも中国市場の4兆円に上る景気刺激策を背景に、インバーターエアコン向けなどの民生機器用や、電車や電力関係、エレベータ・エスカレータ向けなどにパワー半導体が好調に推移していることで計画より100億円多い1400億円となっている。
利益は、売り上げ増に加え、固定費の削減や原価低減活動を一層強化したことなどで750億円の効果が生まれ、当初の赤字予想から黒字に転換する。
吉松常務執行役は「FA機器は10年度も回復基調が続くものと見ている」と語っている。