制御盤の熱対策は一般的に換気扇、熱交換器、クーラーなどが使われているが、日本は熱交換器、欧米ではクーラーが多い。IEC規格では制御盤の中に埃などが入らないように保護構造(IP)が決められており、通常ではIP54~55の性能が必要だ。同時に制御盤内の許容温度も、デファクト化で決められる傾向にある。
制御盤の設置される周辺環境にもよるが、熱交換器や換気扇は、使用機器周辺の温度の影響を受けることや、ファン、フィルタの目詰まりなどで性能低下や内部への塵などの侵入が懸念される。
加えて、電子機器の発熱量増大が著しく、部品の寿命を確保するためにも冷却温度が高く、密閉性に優れるクーラーの採用が増えており、工作機械などの制御盤はほとんどクーラーになっている。
クーラーは導入時のコストが高くなるのが難点であるが、電子機器の長寿命化などに繋がれば、トータルコストではむしろ安くなるという見方も増えている。
データセンターの熱対策は、地球温暖化対策の観点からも重要視されている。
サーバーメーカーも性能を上げながら熱の排出が少ない機種の開発を進めている一方で、熱対策も工夫が進んでいる。
データセンターは部屋全体の冷却と収納機器の冷却が必要なことから、外気や地下の活用、涼しい地域への設置などエコに配慮した対応が進んでいる。中でも床下空調活用が進んでいるが、床下のスペースがある程度限られることや、ラックの前から吸って後ろから排気するという基本的な方法は変わっていない。従って、データセンターの熱対策は、ラック、空調、電源、サーバーなどのメーカーが単独では解決できないことが多く、これらの関係者が協調して取り組むことが重要になってくる。
データセンターの部屋を小さくすることは、空調費用と設置スペース代の削減につながるために、サーバーや電源の小型化とともに、必要に応じて組み合わせるモジュール式も提案されている。冷却方法も、空冷、水冷などを発熱量に応じて使い分け、局所的な冷却、稼働率に応じた冷却などで効果的な熱対策につながる。
あるメーカーの調査では、データセンターで熱対策を行っているのにもかかわらず、熱問題を解決できているユーザーは5割で、そのうち4割は今後も対策が必要という結果が出ている。
熱対策を効果的に行うことは、データセンター全体の消費電力削減にも繋がるだけに熱対策はますます重要になっている。
しかし、熱対策は総合的な提案が必要なことが多く、関連メーカーの連携した取り組みも求められる。逆に、これは付加価値の高い事業にも繋がる。
4月からの省エネ法改正でエネルギーの効率的な利用が一層厳しく管理されるが、熱対策もその一環として重要性がさらに高まることは確実といえる。