「生産設備に予算を削るより生産するモノをコストダウンすべき。10年、20年使用する生産設備には金をかけ、高精度の機械を使った方が生産効率や能力が向上し、ライン停止によるリスクもなくなる」との持論を顧客の立場になって説明し、信頼を得ているのが埼玉県にある配電制御システムメーカー、山崎電機である。同社の制御盤・操作盤は、耐久性に優れ20年前に納入した製品が今でも稼働し喜ばれている。
同社は現場主義に徹し、生産ラインの設計まで顧客に提案している。電気と機械技術両方の能力を備えているから提案が可能になる。
山崎英機社長は機械設計事務所、制御機器メーカー開発部門を経ているため電気、機械に精通している。
「設立当初、株式上場の電機メーカーの下請けをしたが、納期に追われだけで利益がでない。図面から支給され技術力も向上しない。そこで5年後にメーカーとして生きようと決めセットメーカー、機械メーカーを開拓したときに電気と機械設計が役に立った」という。機械メーカーやセットメーカーの要請で現場に入り最適な生産システムを共同で立ち上げる中で配電盤、制御盤、操作盤を設計・製造するのが同社の強み。メンテナンスまで頼りにされている。必要に応じ、PLCを自社ブランドで発売、省配線、無線技術などもいち早く取り入れている。
高い技術力が認められ薬品製造ライン、コンクリートプラント、水処理プラント、塗装ラインなどのほか、近年はリサイクルプラントの制御システムも受注が増えている。仕事領域の広がりと物件の大型化に対応するためネットワーク体制を構築、ソフト・ハード設計、製作、工事分野まで行っている。
山崎社長は開発者の顔も持っている。高速・高処理能力の空き缶選別圧縮機(特許申請)を開発し多数納入。また、ソーラーパネル取付金具やパネル保護カバーも販売施工会社の依頼で開発した。
同社は、またソーラーパネルの販売・施工事業に進出した。昨年5月に建設業(電気工事)の認可を取得。現場研修を終え、小中学校など公共施設の施工受注に乗り出したばかりであるが「1年後には売り上げで配電制御システム事業を上回りたい」と意欲的である。
【山崎電機概要】▽設立=1989年▽本社=埼玉県北葛飾郡松伏町築比地2280―4、tel048―991―8421▽代表取締役=山崎英機▽資本金=1000万円▽製造品目=受電盤・配電盤・分電盤・制御盤の設計・製作・施工、FA制御装置設計製作、ハード・ソフト設計・製作、その他開発など。
(http://www.yemc.co.jp)