サーキットプロテクタは、電子回路や制御回路を過電流や短絡電流などから保護する機器として重要な役割を果たしており、市場規模は約100億円前後と推定される。海外メーカーも取り組みを強めている。国内では昨年秋頃からの設備投資の回復基調を背景に需要の回復が見られ、海外でも中国をはじめとした新興国での需要が増加しており、市場は拡大傾向にある。
最近のサーキットプロテクタ市場は、IT関連機器の普及を背景に情報通信機器分野での伸長が著しく、移動体通信関連の交換機や基地局、通信装置関連設備などで大きな市場を形成している。また、ITS(高度道路交通システム)関連や、航空、新幹線、地下鉄など高度な設備の管制システム分野でも、安全を支える機器として採用されている。
さらに、電源のバックアップとして使用される無停電電源装置や、ソーラーシステム、アミューズメント関連機器、医療機器といった分野でも需要が拡大している。
これに加え、従来からの市場である航空機やスポーツカー、電動工具なども安定した市場となっている。
サーキットプロテクタは、用途や内蔵する機器などにより、細かな仕様が求められるため機種が多くなる傾向にあるが、大きく分けて直列型と並列型に分類される。さらに、遮断する方法によりリレー型、スイッチ型、デュアルコイル型などに分類される。
直列型は最も一般的で、過電流保護機能にON―OFFスイッチ機能を付加したものである。表示ランプを搭載することで、遠隔場所からでも遮断状況が確認できる特徴を持つ。対して並列型は、2つの負荷を同時に開閉できるのが特徴である。
従来のサーキットプロテクタは、メカニカル方式で遮断するのが主流であったが、最近発売されたタイプは、電子式の遮断方式を採用することで、4分岐分の遮断機能を本体1台で対応することができる。これにより、装置の小型化や省配線化が可能となった。
また、装置の起動・停止シーケンス動作のためのシーケンス回路の追加が不要なほか、スタートアップシーケンス機能を付加することで、立ち上がり時の突入電流を抑制、電源電圧が安定領域に立ち上がってから分岐回路へ電源供給することで装置の安定動作と使用電源容量の最適化を図っている。
最近の製品傾向として小型・薄型化、専用化などの点が挙げられる。搭載する装置自体も小型化していることもあるが、1極形で幅が17・5ミリ、2極形で35・0ミリ、3極形で52・5ミリというスリム設計の製品もあり、装置の省スペース化を実現している。
さらに、2極タイプの場合、並列した組み合わせが一般的であったが、これを垂直に繋ぐことで、2極ながら1極形と同じスペースというタイプもある。