アルプス電気は、電源用インダクタ、電流センサなどの電力変換機器及び電力制御機器関連事業を分割して新会社「アルプス・グリーンデバイス」を5月17日に設立し、6月から事業を開始する。新会社設立に当たっては、政府などが出資する産業革新機構(INCJ、東京都千代田区丸の内1―6―5、能見公一社長)が最大100億円の株式を引き受けることで合意しており、4回分割の1回目として5月に30億円の投資を受ける。
同社のグリーンデバイス事業は、低酸素社会実現を目指した環境対応型製品の開発に向けて東北大学等との共同開発などで蓄積してきた磁性材料技術及び薄膜プロセス技術を技術的中核とした高効率電力変換デバイス(コア&パワーインダクタ、リアクトル)及び小型電力制御デバイス(電力センサ)が対象。
しかし、これらの製品・技術は同社にとって馴染みの薄い新規市場であることから、事業範囲の拡大と事業化促進のためにはオープンイノベーション実現の観点から、INCJとの提携による事業化が最適と判断。INCJの資本とネットワークを活用しながら、将来的にはグリーンデバイス関連企業や研究機関等との資本・業務提携を積極的に推進することを狙いとしている。
新会社で進められる技術のうち、小型電力制御電力センサは、薄膜プロセス技術と磁性材料技術を融合して、市販品の5分の1~10分の1の小型化を図り、ヒステリシスや温度特性を大幅に改善して、小電流から大電流(最大1000A)まで対応できるもの。スマートメータやリチウムイオン電池充放電制御、インバータモータ制御などへの応用を見込んでいる。
新会社の資本金は15億8000万円で、アルプス電気が73・9%、INCJが26・1%を出資し、社長にはアルプス電気の藤井康裕取締役が就任。従業員数は64人でスタートし、順次増やしていく。
5年後の2015年には、230億円の売り上げを計画している。