オムロンは、スイッチ事業を強化するため4月1日から新会社オムロンスイッチアンドデバイス(OES、岡山市中区梅吉2075、谷口宜弘社長)で事業を開始した。グローバル展開と新商品創出の加速、ものづくり技術の強化という3つの観点でスイッチ事業の強化を図り、スイッチ事業で世界一を目指すことを目標に、2018年度までに売上高500億円を目指す。
OESは、同社のスイッチの開発・生産を行っていた連結子会社のオムロン倉吉を同日付けで商号変更して、本社をオムロン岡山事業所内に移転した。
また、連結子会社のオムロン出雲もオムロン倉吉に吸収合併し、いずれもOESの事業所として運営していく。同社のスイッチ事業は、業務・民生用途から車載、FA・産業用途まで3万種以上という業界トップクラスの品ぞろえを誇っている。
一方、スイッチ市場は、新興国などとのグローバル単位で競争が激化している。同社では、このような競争環境下で最大限に強みを発揮し、成長が見込まれるスイッチ事業の拡大を行うため、OESでは事業戦略・商品企画・開発設計・生産技術の一元化、市場変化を先取りした新商品の創出と、顧客のアプリケーションに適応したカスタマイズにスピーディに対応できる体制を確立する。
生産面でのグローバル展開では、「グローバル生産3層構造の確立」を行う。基盤技術の開発を行う国内マザー工場、QCDを徹底追求する海外サテライト工場、特定の強みをもつ外部パートナーという三者の役割・機能を明確化にし、グループ全体でものづくりの最適化を行う。これに伴い、倉吉・出雲工場から海外サテライト工場への生産移管を進めるとともに、岡山・倉吉・出雲の国内拠点はマザー機能の強化を図る。
営業のグローバル展開では、同社が世界中に持つ150を超える営業拠点と生産拠点をOESがハブとなることで一元的にコントロール、顧客へ最適なQCDを提供する。
新商品創出の加速では、国内・海外を問わず、技術者が顧客を訪問し、そのニーズを的確に掴むことで新商品創出を加速させるフロントエンジニアリング体制を構築・強化する。
特に今年度は、産業機器用途で耐油性に優れたスイッチや、電装比率が高まっている車載用途ではドアスイッチなどを発売する予定である。
ものづくり技術の強化では、地球環境への配慮と原価低減を目的とし、「省」にこだわったものづくりをキーコンセプトに技術基盤の強化を行う。具体的にはMFCA(マテリアル・フロー・コスト・アカウント)のコンセプトにより、従来の生産プロセスで捨てられていた材料の「見える化」を行う。新金型設計によるプレス材の廃材レスや、材料開発による省材化、ハイサイクル成型技術による成型材料の廃棄ロスなどを実現していく。
一方、リレー事業も同日付けで新会社オムロンリレーアンドデバイス(OER、本社熊本県山鹿市杉1110、多田幸一社長)が新たにスタート、14年度に売上高850億円を目指す。
従来のオムロンリレーアンドデバイスとオムロン武雄を同日付けで経営統合して、ものづくり技術力の強化とグローバルでの生産最適化を推進する。同時に事業企画やマーケティング機能、設計機能などをOER本社に集結、武雄拠点は多品種少量生産のノウハウを活かした生産に集中する。