産業用トランスは、電源電圧を安定・変圧させる役割を持ち、機器を陰から支える重要な機器として確固たる市場を形成している。あらゆる産業機器に内蔵されており、安全性確保の重要な役割を担っている。
経済産業省の機械統計による生産額では07年590億円、08年は設備投資抑制の影響で前年比12%減の519億円となったが、昨年から需要が大きく回復しており、特に高容量の大型トランスの需要が拡大している。
また、特注品の受注が増加しており、各種のニーズに合わせた改良・工夫が進んでいる。
製品仕様では、トランスの小型軽量化に加え、接続方法の簡易化、ねじアップ方式、マルチタップ化などの工夫が施されている。
ねじアップ式端子台を搭載したタイプは、配線時間が大幅に短縮できるなど作業性の向上が図られる。
また、入力側とともに出力側もマルチタップ化し、1台で12種類の電圧に対応できる製品も注目されている。
さらに、ねじアップ式端子台にLEDを取り付け、通電中はLEDが点灯し通電状態が目で確認できるタイプがシェアを伸ばしている。
小型軽量化では、巻線仕様をノーレア方式にし、絶縁種別をB種にすることで、20~40%の軽量化、10~20%の小型化を実現。さらに、軽量化対策として絶縁紙の使用枚数を削減することで、環境対策面でも効果を上げている。
トランス自身にノイズ対策機能を持たせたタイプは、ノイズ対策専用トランスが不要となり、コスト、スペースなどの面でメリットが出ている。
さらに、日本は雷被害が多いことから耐雷トランスの需要が増加している。