近年、製造業を中心に、対象物に2次元コードやRFIDタグを貼り付けて、原材料の調達から製造、輸送、販売に至る全体的なモノの流れを管理するトレーサビリティや入出荷管理、生産管理など個体レベルで情報を管理するニーズが広がってきている。
RFIDは、バーコードや2次元コードで実現できない大量のデータの書き換えが可能で、非接触で読み書きができるツールとして様々な分野での活用が検討されている。
ここでは、生産現場における工程管理に着目し、RFIDの特徴を活用した実績管理について、東研が提供する工程管理システム事例を紹介する。
◆手作業の問題点
予定情報に対する実績を把握するための手段としては、一般的には作業日報を用意して作業員が直接記入して管理する方法がある。
日報をベースとした実績管理の基本は、全ての日報情報の集計をもとにしており、情報を集計しなければ進捗や作業工数の把握、作業効率の分析ができない。
しかし、日々の作業日報の記入は作業員にとっても負担が重く、一日の最後に一つひとつの作業を思い出して記入する仕方では正確な作業実績を把握することは現実的に困難である。
また、現場のリーダーや部門長にとっても日々提出される手作業の日報の集計は大変煩雑であり、加えて正確性の要求から、管理職自ら何度も現場に足を運び進捗を確認するなどの状況が発生している。
◆バーコードの問題点
他方のバーコードによる実績収集は、作業時間の開始や終了を示すバーコードを読み取って実績情報を日報に反映させて記入の手間を省くことができるので、リアルタイムに進捗や工数を把握することでより安易に管理が可能である。
しかし、より正確な実績情報を取るためにはバーコードの数を増やすなどするため読み取り間違えが発生し易くなるなどの問題や、バーコードが貼られている場所を探す時間、バーコードに狙いを定めて読み取る時間があらたに発生することも指摘されている。
作業進捗は、作業員が簡単に操作できてリアルタイムに実績情報が反映される仕組み、リーダーや部門長にとっては現場に足を運ぶことなく進捗を把握し、多様な作業指示に対して柔軟に対応することが求められている。
◆RFIDで手作業・バーコードの問題点解消
RFIDを作業指示書に活用すると、大容量の情報を収納できることから工程情報、作業情報を記録できる。さらに追加情報として、出来高や作業活動時間などの作業実績情報も記録が可能である。
このように作業指示書としてRFIDは多様な情報をもたらすことができるが、それだけでなく、作業終了後に情報記録を消去することにより、次の作業指示書として再利用も可能である。