ドイツ自動車業界の5つの会社(Audi、BMW、フォルクスワーゲン、ダイムラー、ポルシェ)は工場のオートメーションを共同で進めるため、AIDA(AutomationInitiativeof
GermanAutomobileManufacturers)という団体を作っている。
単にドイツ自動車業界だけの問題ではないが、長期的なトレンドを考えるとエネルギー価格の上昇は、今後も続いていくものと予想される。また地球温暖化対策など世界的に二酸化炭素の排出量の削減が求められていることから、効率的にエネルギーを使用することは、単に企業のコスト削減というだけでなく、社会から企業への要求であるといえる。
AIDAでは工場の効率的なエネルギー消費を妨げる1つの問題点として、工場の稼働停止時においても電力消費が減らない点をあげている。
図1の左側を見ていただきたいが、工場の稼働時で、製品を作っているときは、電力消費が大きくなることは理解できるが、生産を停止している週末でも電力の消費量がそれほど減らない。
AIDAにて、この原因を探ったところ、工場の稼働停止時においても、現場の機械(ロボット)などの電源はON状態のままで、電力が消費され続けていることが判明した。
工場で稼働する機械の電源を簡単に切ることが出来ないのは、いくつか原因がある。
機械によっては、電源を切った場合、再スタートに時間がかかる機械がある。また、他の機械では、電源断となった場合にどのように停止するかを指定できないものがある。さらに、ただ1つの機械の電源を切れば良いのではなく、お互いに連携して動く機械では、電源を切る順番、そして電源をONする順番を考慮しなければならないケースもある。
工場内ではさまざまな機械が稼働しているわけで、このように電源を落とす手順、立ち上げる手順を考慮しなければならないのは、運転員にとって新たな負担となる。
AIDAは、工場の現場機器につながっているオープンネットワークを使うことで、運転員に新たな負担を与えることなく、無駄な電力を消費しないシステムを構築できる標準技術の開発をPIに依頼した。
PIはAIDAの要求に応えて2009年春より14社からなるワーキンググループを結成し、産業用Ethernet・PROFINETを使ったエネルギー管理プロファイル・PROFIenergyを完成させた。PROFIenergyを使うことで、工場の稼働停止の電力消費量が図1の右側のように大幅に削減できると期待されている。