産業構造がさらにグローバル化し、価格競争が激化している今日、生産性の向上とコスト削減を実現するオートメーション・メカトロニクスソリューションに、全製造業が注目している。国際ロボット連盟(IFR)統計部は、業種、ならびに国別の『オートメーション化の潜在性』につき、調査・発表している。AUTOMATICA専用ホームページでは、自動車、電気・電子、情報通信、化学、プラスチック・ゴム、金属加工、木材加工、製紙・印刷、飲料・食品、医薬・化粧品、包装、建設、航空宇宙、ソーラー技術の全14業種につき、その内容を閲覧できる。今回は、そのうちの『自動車』と『飲料・食品』を取り上げたい。
まずは、最もオートメーション化が進んでいる『自動車産業』について見てみたい。ロボット密度(=製造業従事者1万人あたりの稼働産業ロボット予測数)がおよそ400~700に達している同業界は、急激な世界不況がインパクトとなり、電気自動車、ハイブリッド車、低燃費車などの、いわゆるエコカーに対する需要が、特に米国・西欧・日本などの既存市場で高まっている。中国・ASEAN・インド・東欧・ロシアなどの成長市場では、自動車保有率自体が低い、あるいは中古車比率が依然として高く、車に対する潜在需要が大きい。さらなるセールス拡大を達成するには、それぞれのマーケット状況に即した製品の投入が必要不可欠だが、その点でオートメーションが果たす役割は大きい。
『飲料・食品産業』はどうだろうか。前述の自動車業界に比べ、ロボット密度も50未満とオートメーション化が進んでいないが、成長市場を中心に今後とも堅調な消費が見込まれている。また、既存市場では健康・機能性飲料・食品に対する関心が高まる一方、成長市場では次第に食の好みが多様化してきている。厳しい衛生管理が求められる同業界においてオートメーションは、一定の品質を保ちつつ個々のニーズにあった飲料・食品の製造に大きく貢献する。
最後に、国別で様子を見てみると、世界で最もオートメーション化が進んでいるのは、日本・ドイツ・韓国で、200~400に達する。成長市場である中国・ASEAN・インド・東欧・ロシアなどは50未満と、オートメーション化が進行していないが、各産業に対する潜在需要が、さらなるオートメーション・メカトロニクスソリューション導入への原動力となりうる。