三菱電機FAシステム事業本部は、海外販売戦略の具現化へ積極的に対策を講じ始めた。同社が掲げるFA機器販売戦略「世界市場占有率20%」の実現には、日系企業の進出が著しいアジア市場で2012年度にもトップに立つ必要があるとして、中国市場での制覇を目指している。FA機器とFAオープンネットワーク「CC―Link」は表裏一体の関係が強まり全方位の販売対策が求められる中で、市場獲得の速度を速めるため製品開発を強化する一方、関連する企業との製品提携や資本参加を進める。同社は世界市場を見据え、10年前から「グローバル20」を掲げ市場占有率の引き上げに取り組んでいる。
「欧米の比率は下がっているものの(競合メーカーの)シーメンス、ロックウエルに対しアジアは我々が有利に展開、目標に少し近づいた」(FAシステム事業本部機器計画部宮田芳和部長)としているものの、中国・アジア市場の獲得で一気に到達する方針だ。
国内市場では、制御機器関連ではPLC、プログラマブル表示器などでシェアトップに立ち、CC―Linkの普及率も高い。韓国、台湾市場でも同様に市場を獲得している同社は「12年にアジアナンバーワン」(宮田部長)を目指している。
その鍵を握るのは、FA市場規模が2000億円とも推定され、引き続き拡大を続ける中国市場。
「中国は社会インフラ系が多かったが、半導体や液晶、さらに自動車の設備投資も動き、当社も売り上げが過去最高のレベルに達した」(宮田部長)なかで、さらに勢いをつける。
欧米FA総合メーカーが中国・アジア市場で、コンピュータレベルからI/Oレベルまでのオープンネットワーク普及戦術でFA機器の売り上げ増加につなげているなかで、同社にとって中国市場で競合する上で機械・機器間の省配線システム技術が欠かせない。コンピュータレベル、コントローラレベル、フィールドレベルまでの統合ネットワークCC―Linkを発信する同社が、省配線システムメーカーでセンサー開発に乗り出したエニイワイヤに資本参加したのも、その一環。「グローバル展開の中でCC―Linkの魅力を高めるためには、ネットワークとしての広がりが必要である。センサー・入出力レベルの省配線システムに優れた技術を持っている会社」(同)とエニイワイヤを評価したうえでの判断。
伝送速度の速いCC―Link
L/Tと省配線システムAnywireでI/Oレベルを補完し合いユーザーを獲得する。
特に、中国を第一に重視する同社は、省配線システムを半導体・液晶製造設備などに売り込む。共同の製品開発などは今後詰めるとするが「エニイワイヤの省配線システム、センサー開発技術と当社技術とを融合させたい。三菱ブランドの製品も開発する。3年後には30億円の純増効果を目指す」(同)方針。
同社は、オープンネットワークと連係するFA機器で「駆動」「制御」エリアで品ぞろえしているが、「入出力」エリアでも、センサー関連でコグネックス(米国)、ジック(ドイツ)などと製品提携をし「点」から「面」へと広げている。エニイワイヤのセンサー・システムが加わり面の拡大も望めるものと見られる。