大量のサーバを駆使し、インターネットへの接続回線や、保守・運用サービスなどを行うインターネットデータセンター(IDC)の伸長が著しいが、大量に設置されているコンピュータやサーバなどから発生する熱を効率良く排熱・排出するため、温度のリモート監視システムや、高機能専用ラックの需要が急拡大している。さらに今後、ネット経由でソフトウェアなどを提供する新機能のデータセンターの増加も確実視されており、業界にとって新たなアプリケーションの拡大に繋がりそうだ。
IDCは、1990年代からのADSL事業の増加、さらに企業がデータ処理をアウトソーシングするために利用したり、インターネット接続でデータセンター内の機器に接続して、外部からのWebアクセスを引き受けるなどの用途で需要が拡大、08年には日本データセンター協会が発足するなど、大きな成長を見せている。
調査会社によると、データセンターの市場規模は08年に約1・3兆円、延べ床面積は約139万平方メートルだったが、14年には約1・7兆円、250万平方メートルに拡大すると予測している。
IDCは、通常のオフィスビルと比べ、多くの光ケーブルなどが引き込まれているほか、大量のコンピュータ/サーバが設置されており、これらから発生する熱に対処するため空調設備が強化されている。
最近では、熱を効率良く放出するために空調設備から冷気を導入する通路(コールドアイル)と、コンピュータからの発熱を排出する通路(ホットアイル)を分離するデータセンターが増加している。
また、災害時にもサービスの提供に支障が出ないように建物自体が耐震構造となっている上、高耐震のデータセンター用ラックが用いられている。さらに、電力会社からの電源供給も複数系統となっているほか、電力供給が途絶えた場合に備え、大容量の蓄電池や自家発電装置などを備えている。
こうした条件を満たすためIDCには、各種の高機能ラックのほか、遠隔地から温度などのリモートデータ監視を行うためのシステムなど、各種の制御機器の需要が高まっている。
高耐荷重とともに耐震構造を採用した、最新のハイブリッド型データセンター用ラックは、1000galの地震波でも800キログラムの荷重に耐えることができる。さらに、高耐荷重、耐震構造だけでなく、IDCの最大の課題である排熱性能にも優れる。
ラック開口率は最大93%で、例えば38度で吸い込んだ温度が約10度低減され28度となるなど、排熱の課題にも確実に対処できるものである。
また、IDC内の温度状況を遠隔地から「見える化」し管理するために、リモート監視システムの採用が拡大しており、関連する省配線システムなどの採用も拡大している。
IDCに関しては今後、インターネット経由でソフトウェアなどを提供する新機能の「クラウドコンピューティング用データセンター」が増加することが確実視されており、制御機器業界にとっても新たなアプリケーションの拡大に繋がりそうである。