光源のLED化は、押しボタンスイッチだけでなく、トグルスイッチやシーソスイッチ(ロッカースイッチ)などにも普及して、小型化・短胴化に大きく貢献している。ロッカースイッチに有機ELを採用して、情報検索的な使い方もできる新発想の製品も注目されている。
シートスイッチやパネルスイッチは、パネルデザインの自由度が高く、耐環境性も良いため、悪環境下の生産現場から携帯用の民生機器まで幅広い市場を形成している。
耐環境性の面では、トグルスイッチもIP67相当の保護構造まで製品化されている。屋外などで多少の水などがかかっても、操作できる保護構造を求めるニーズは高く、建設機械、農業機械などでは特に求められている。さらに、操作レバーを全面照光式にした製品も登場。ON・OFFが、暗い場所でも操作レバーの位置で確認できる。多方向スイッチは、1本のレバーで多くの開閉が可能で、細かな操作を行う用途に最適だ。
また、最近発売されたトグルスイッチやスライドスイッチは、スナップアクション方式を採用し、クイック動作で出力の安定を図り、接触信頼性を高めると同時に長寿命化を実現している。操作部分のノブをカラー化して、差別化を志向するメーカーもある。カムスイッチは、多くの回路とノッチが得られるため、複雑な開閉などに対応できる。用途によって操作開閉頻度に大きな差があるため、接触信頼性の確保が最優先で求められている。
今後のトレンドとして注目されているのが、AC/DC共用スイッチだ。DC100Vといった高容量でも使えることから、今後普及が期待されている電気自動車など新しい用途開拓が見込まれている。また、指紋認証機能を操作用スイッチと一体化した製品も、機械・装置の安全性確保の点からも注目される。
操作用スイッチは、基本的に使用環境や操作頻度、取り付けスペースなどを基準に選択されるが、最近は「デザイン性」「LED採用による高輝度化」「小型化・低背化」「信頼性の向上」「安全対策」「ネットワークへの対応」「経済性」「省配線化」などが大きな要素となっている。特に最近は、機能性だけでなくデザイン性も大きな開発のポイントになっている。従来、産業機器分野では性能が最優先でデザイン性は後回しといった傾向が強かったが、現在ではこうした傾向は大きく変わりつつあるといえる。
ローコスト追求の傾向が強まる中で、スイッチの不良が火災や事故に繋がるケースも増えている。使用用途に合わない電流・電圧で起こる事故のほか、コスト優先で接点寿命や接点定格が、カタログ値以下によって起こるトラブルも増えている。機器のインタフェイス部分を担う操作用スイッチはこういった意味でも、定格にあった製品選択と品質重視の姿勢が常に求められる。
操作用スイッチは、標準品のほか、ユーザーが求める機能を盛り込んだ特注対応の製品需要が増加傾向を見せている。スイッチメーカー各社は、こうした小さなニーズを吸収しながら、新たな用途開拓を進めており、市場のさらなる拡大へ意気込みを見せている。
福祉機器、太陽光発電関連、電気自動車関連、LED照明関連、燃料電池分野など新たな市場・アプリケーションが期待できる操作用スイッチは、機器・装置の重要なインタフェイスとしての地位をしっかりと確保した展開が続きそうだ。