経済産業省、農林水産省は、植物工場の設置数を3年後までに3倍増にする計画をスタート、植物工場モデル施設を全国展開し普及を図っている。また、食品加工機械施設の整備支援にも乗り出している。各社は、受注へ営業を強化しており、不況が長引く中で、1次産業の配電制御システム市場は今後大きな成長が見込める。
全国の植物工場は昨年4月時点で50カ所。経済産業省、農林水産省は21世紀のインフラ整備として植物工場の3倍増へ普及拡大を目指している。植物工場関連機器の基盤技術研究拠点の整備、モデルの展示、工場リース支援などを展開している。
植物工場は農地のほか、宅地、雑種地、工業用地などにも設置可能であり、立地場所を選ばないので普及に好都合である。
工場の形体は完全人工光型と太陽光・人工光併用型があるが、近年は完全人工光型の建設が多い。
植物工場は、照明・空調制御、床搬送制御、温湿度制御、植物成長へのCO2制御、水・細霧制御、抽出制御などがネットワークで高度自動制御される。制御システム構築への投資額も多額である。「この不況期に農業施設向け無線システムを受注でき、他の売り上げ減少をある程度カバーできた」といい、今後も受注に期待を寄せている。
植物工場は、また3年間で生産コストを3割縮減するための生産技術開発も進められており、既設工場でもコストダウン、省エネ投資は増える傾向にある。すでに設置されて10年以上経過した工場では、設備リニューアル期を迎えている。
植物工場とは別に、農林漁業用機械施設、食品加工施設の整備支援が今年度強化される。
食品産業事業者、農林漁業者の団体に整備費用の半額を補助する内容で、機械制御システム、ライン制御システムの導入が進むものと見られる。
これまでは、市場の対象として程遠かった1次産業で配電制御システムの市場が開かれようとしている。配電制御システムメーカーの中には、制御機器、空気圧機器などのメーカーと連携し市場開拓に乗り出しているところもある。
1次産業の「工場化」に進出し始めた食品、小売業、商社、ゼネコン、総合エンジニアリングなど多様な業種に対し、配電制御システム各社も営業強化に意欲的である。