オムロンは、中期目標である売上高7500億円、営業利益1000億円を達成するため、今年度構造改革(リバイバルステージ)を加速させる。また、車載電装部品事業の強化を図るため、5月6日付けで「オムロン
オートモーティブエレクトロニクス」(OAE、愛知県小牧市大草年上坂6398、鈴木吉宣社長)を設立、事業を開始した。
同社は、2009年2月から11年3月までの26カ月間をリバイバルステージと位置付け構造改革を実行、強固な収益構造づくりに加え、再成長へのギアチェンジに取り組んでいる。
内容は、事業ドメイン改革としてIAB(インダストリアル・オートメーション・ビジネス)、ECB(エレクトリック・コンポーネント・ビジネス)、AEC(オートモーティブ・エレクトロニクス・ビジネス)の制御3事業の再構築を図り、生産拠点の統廃合・変動費構造改革・IT構造改革・本社機能改革などの運営構造改革を行うもの。
26カ月の構造改革、緊急改革の後に10年間の次期長期計画に入るが、その中での中期目標(201X年)として売上高7500億円、営業利益1000億円体制(営業利益率13・3%)を目指す。
中長期の目標達成に向けた具体的取り組みでは、強固なPL構造を構築するために、売り上げ拡大に伴い売上原価率の低減を図る。09年度の変動費と製造固定費を足した売上原価率は65%であるが、中期目標達成時には58%に低減する。事業の成長が新興国向けのウェイトが大きく、ローカルでの競争が厳しくなることから、原価低減が必須となるため。
売上原価率の低減は、中国などLCC(ローコスト・カントリー)×プロセス×拠点の3点セットで、汎用コンポの原価構造から改革を行っていく。LCCからの材料・部品の採用と現地調達、原材料・市販部品の標準化、コア部品の内作化を進めるとともに、材料・部品に適した工程・工法の開発、省材料工程・工法の開発、設備の標準化と流用促進を図る。さらに、QCD(品質・コスト・納期)向上への拠点・運営構造の確立を推進する。
売上高7500億円達成に向け、先進国向けに約20億円を投資し既存事業の強化を図る。国内と先進国での営業強化に向けて、国内販売チャネルの充実と市場占有率の向上を目指す。同社の国内シェアは、09年度で1・1ポイント回復したが、今年度は1・5ポイントの上昇を目指す。特に、センサ、PLC、リレーなどに重点を置く。
新興国向けでは約30億円を投資して、IAB、HCB(ヘルス・ケア・ビジネス)で、中国・インドなどを中心に営業を強化する。また、製品ではセンサ、電源、PLCなど汎用コンポとヘルスケアを強化する。さらに、環境事業も約10億円を投資し注力する。
09年度は環境関連事業の売り上げは48億円だったが、今年度は100億円を目指す。将来的にはパワーコンディショナなど主力環境製品の強化と、パワエレデバイスなど次世代環境製品の開発を推進し、売上高320億円を目指す。
一方、OAEは同社の構造改革の一環として車載電装部品事業を分社し設立した連結子会社。今後、自動車業界に特化した自律運営を目指し急速な環境変化に合わせた顧客ニーズに迅速かつ柔軟に対応していく。