インドに対し欧米アジア企業が進出に拍車をかけているのに比べ、日系企業は旭硝子、スズキ、ホンダなどの成功例はあるものの相対的に立ち遅れているが、中国とともにリーマンショックの影響が軽く高度経済成長を続けており、日本の製造業も生産拠点、市場として関心を高めつつある。
こうしたなか、日本のエレクトロニクス産業の誘致へインド電子部品工業会(ELCINA)会長ラジュー・ゴエル氏が日本開発工学会(中上崇会長)の招待で来日、「インド電子部品産業の現状と将来―日本企業の事業チャンスはあるか」と題して講演した。
インド電子部品工業会は、1967年設立。産業・民生用エレクトロニクス・部品、コンピュータ、情報通信関連分野の団体。
ゴエル会長はインドの経済状況を「GDPが1950~80年3・5%、80~2002年6%、02~09年8・5%の成長を遂げている。100億ドルを超える企業は100社以上、外国から投資を受けた企業も1千社以上ある」と語る。
エレクトロニクス産業については「インドのエレクトロニクス市場は450億ドルである。国内の生産額は220億ドルで需要の50%にとどまっている。08~09年の生産額の内訳は、コンシューマーエレクトロニクスが6・4億ドル、コンピュータが4・2億ドル、通信関係が4・4億ドル、産業用が3・5億ドル、コンポーネンツが2・8億ドルなどである。15年までに市場は1500億ドルを超えると予測されており、生産が追い付かない状況が続く」
また、「インドは海外企業に進出機会を提供しており、パナソニック、シャープ、三洋、デンソー、ノキア、LG、サムソンなど多くのメジャー企業が拠点を置いている」
コンシューマ製品や情報通信機器などの市場規模を述べた後「コンポーネントの生産メーカーがほとんどないので、日本メーカーの進出のチャンス」。また「半導体、エコシステム、LCD、PDF、太陽光発電、ナノテクなど製造業の設立に当たり助成金などの多くの優遇措置がある」と強調した。
この講演会では、インド貿易振興会東京事務局長ダレル・シン氏も講演。インドと日本の貿易について「15年前は中国よりも多かったが、現在は日本36億ドルに対し中国は500億ドルと逆転。インド国民は日本に良い印象を持っている。調査結果によると、94%が日本企業の進出を望んでおり、60%が日本語を学びたいと回答している。日本製品は品質が良いことを知っている。進出を積極的に支援するので相談に来て欲しい」と語った。