安川電機のACサーボモータ事業が、急速な拡大を見せている。現在の生産水準はボトムであった2008年4月の4倍となっており、しばらくはこの状態が続くと見ている。受注を支えているのは半導体・液晶製造装置や電子部品実装装置向けで、中国市場向けではNC工作機械やマシニングセンタ向けなども好調だ。同社では、「R1000プロジェクト」などで増産に対応している。
「ACサーボの受注は09年10月頃から計画以上に入り始めた。09年下期は09年上期比倍増、ボトムであった08年4月の4倍を計画していたが、実際はこの計画を更に5%も上回って現在は東京工場開設以来、最高の水準で推移している。半導体・液晶製造装置や電子部品実装装置向けなど、当社が強い分野が伸びたのが大きな要因である」(モーションコントロール事業部熊谷彰東京工場長)。
この受注に対応するため、増産に向けた設備投資も意欲的に行っている。
現在進めている生産工場にロボットを1000台導入する「R1000プロジェクト」では、人手を増やさないで、同社の持っているロボットを駆使してモータの巻線やプリント基板のワニス作業などを行っている。また、試験機なども増やして品質対策も強化している。
「主力機種の∑―Vや∑―IIは、月を追うごとに生産能力が上がっており、08年下期から比べると現在は1・5倍ぐらいになっており、さらにグループ会社とも連携して生産能力を高めている」(同)。
同社では、市場の伸びが著しい中国での需要増に対応して、瀋陽にサーボモーターの新工場を建設、今年6月に竣工予定となっている。
「中国では工作機械、射出成型機、半導体やLED製造装置、電子部品実装装置などの現地生産も進み市場が広がっているが、心臓部のサーボモーターは日本メーカーの高い品質のものを使いたいというニーズが強い。加えて、賃金上昇もあって自動化を図ることでコストを抑えたいという動きも活発である。また、自動車メーカーを中心に、環境・省エネの観点から油圧からサーボモーターを使ったプレスに置き換えたいという話も出ている」(同)という。
一方、ACサーボモーターやモーションコントローラ、インバーターなどのグローバル競争が激しくなっていることから、同社では営業、サポート、調達などのグローバルマーケティング機能の強化も今期から進めている。役員クラスがグローバルマーケティング機能の担当を兼務して、市場と工場、開発が一体となって取り組んで行こうというもの。