IDECは、2013年3月期に売上高350億円、営業利益率15%以上を目指す中期経営計画を推進する。計画の骨子は、スイッチ事業を強化拡大し国内シェア60%の達成、中国を中心とする販売重点エリアの体制強化、さらに同社のコア技術を駆使した環境関連システムなど、社会的ニーズに対応する新規ビジネスモデルの構築により、経済危機などに直面しても利益を確保できる経営体質の構築を目指す。
スイッチ事業の強化拡大では、制御用操作スイッチを中心に制御コンポーネント分野でのシェア拡大を図るとともに、開発から生産までの一気通貫体制による高収益体制を実現する。
同社のFA分野向けスイッチは、操作用スイッチ(工業用)、安全スイッチ、防爆スイッチ、デザインスイッチなどをラインアップしているが、各マーケット別での戦略展開とカスタム対応力を強化し、13年3月期までに国内シェアを60%、さらに中国市場を見据え10年後にグローバルでナンバーワンシェアを目指す。現在、同社の国内シェアは40%であるが、今後バリエーションをさらに強化・拡大し、FA分野をベースにFA以外の分野でも強化拡大を図る。また、カスタマイズにより顧客ニーズへの対応を強化するとともに、部品の共通化・コスト削減により収益性を向上させる。
販売重点エリア戦略では、特に中国地域での販売拡大と管理体制の構築を図り、13年3月期の時点で売上高40億円を超えるベースづくりを行う。このため、今期は20億円強の売り上げを目指す。
具体的には、代理店の拡大と、それをサポートする営業所を内陸部へ向け積極的に開設する予定で、近々にも杭州・済南・天津・武漢・長沙・成都の6カ所に営業所を開設する。また、規模拡大の一方で間接機能を上海に集約し効率化を図る。
さらに、蘇州工場と販売子会社間の連携を強化し、「YWシリーズ」に続く製品など中国向け製品を開発・投入する。
新規事業のビジネスモデル構築では、LED照明事業の拡大、土壌・水質浄化、植物工場への取り組みなどがある。特に、同社はコア技術としてシステム制御技術、LED照明制御技術、GALF(超微細気泡生成技術)などを保有しており、これらのコア技術を活かした環境関連ビジネスの推進を図る。
LED照明事業として、コンビニエンスストアや車両分野、データセンターなどの商業用照明分野への展開では、多店舗チェーンへの展開、電車、看板照明など、省エネが求められる業界へ積極的に展開し、今期10億円の売上げを目指す。
FA分野など産業用LED照明分野では、機械・設備用照明用途のほか、工場のLED照明用として実証検証を行い、さらなるラインアップの拡充を図り、今期4・5億円の売り上げを目指す。このほかLEDデバイス製品で1億円の売り上げを目指し、これらのLED照明事業トータルで今期15・5億円、中期計画の最終年度で30億円の売り上げベースに持っていく方針である。
土壌・水質浄化では、システム制御技術とGALFを駆使し、工場や食品関連などの排水処理や水浄化装置などに応用を図っていく。特に「改正土壌汚染対策法」が施行される予定であり、各種の土壌・水質浄化システムとして提案を行っていく。
植物工場への取り組みでは3つのコア技術を駆使し、中期計画中に1つの事業に成長させる方針である。すでに富山の同社植物工場ラボで実証検証が行われており、研究開発が進んでいる。