電機・制御・電設各社の今期計画が出そろった。各社は不況から一転し増収増益を見込む成長戦略に乗り出すが、内需は新市場の萌芽・台頭期と見る一方、売り上げを海外市場で稼ぐ図式が鮮明になっている。国内では、市場占有率の拡大策と環境・エネルギーなどインフラ系の開拓に注力する。海外では中国・アジアでの販売強化策が目立ち、海外売り上げ比率を高める戦略である。
三菱電機の産業メカトロニクス部門の今期売上高は8200億円、前期比12%増加を計画。環境関連事業戦略の推進、社会インフラシステム事業の強化、グローバル戦略の強化などの成長戦略に取り組む。特に、FAシステム事業は中国・アジアでのシェアトップを目指し攻勢をかける。
富士電機は今年度から、エネルギー・環境に対応、セグメントを「エネルギー」と「環境」の2ソリューション、「半導体」「自販機」「器具」「ディスク媒体」の5プロダクトに再編。2009年度の海外売上高比率26%から11年度40%へ拡大させる。中国では、09年度売上高432億円から今年度800億円を目指す。
オムロンは、国内・先進国市場では既存事業を強化。国内市場では占有率を1・5ポイント高める。新興国市場は、IAB・HCBでの営業強化、中国・インドなどへの販売を強化する。特に、新興国向けのセンサー・電源・PLCなど汎用コンポの増強を図る。環境事業も、今年度100億円を計画している。
IDECは、13年3月期の中期経営計画を推進する。スイッチ事業は、国内シェアを60%、さらに10年後にグローバルでナンバーワンシェアが目標。新規事業では、LED照明事業の拡大、土壌・水質浄化、植物工場への取り組みを推進。
パナソニック電工の制御事業はエコカー向け車載リレー、ATスイッチなどの車載デバイス、センサーなどに注力。中国・アジア向けでは狭ピッチコネクタ、FA関連製品の販売を拡大する。
キーエンスは今期、08年度売上高1653億円を百億円上回る大幅な増加を見込む。製造業の省力化や研究開発関連の新製品の投入を増やす一方で、中国・新興国での営業強化に注力するものと見られる。
SUNXは、10月からパナソニック電工のFA機器事業を継承するのに伴い、同時に社名を「パナソニック電工SUNX」、ブランドを「Panasonic」に変更。FAからSA、エコ分野へ事業領域を拡大。海外は、中国での事業展開を加速させる。
横河電機は、制御事業におけるグローバルナンバーワンへ構造改革の年度と位置付けている。電力、化学、石油化学・精製、資源エネルギー分野に攻勢。電力、化学では海外に水平展開し、シェアを拡大。
山武は、今年度スタートの中期計画で「発展期」としており、ビルオートメーション、アドバンスオートメーション事業では省エネ、環境関連でのソリューションビジネスを強化する。海外市場では、アジアを中心に新興国での事業を展開。
日東工業は、自動車関連、環境配慮型の開発を加速させ新規市場を開拓する。IT市場は深耕策を強化。海外展開は中国、ASEANの販路開拓を行う。
東洋電機は、国内では環境、エネルギー分野での開拓、新規事業の推進を図り、海外市場では、特に中国での受配電盤、エレベータ用センサーの製造販売を強化する。