三菱電機の機器事業部長に4月1日付けで神田正志氏が就任した。
神田新事業部長は「国内のFA、配電制御機器市場は2006~09年度の実績までの復活は望めないことを前提に、既存事業の再強化による規模拡大、新分野・新市場への取り組み強化で需要開拓を進めたい」と語り、「厳しい事業環境下で、競争している顧客に価値を認めていただけるFAサプライヤーを目指したい」と今後の事業方向を示した。
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―機器事業を取り巻く環境をどう見ていますか。
「今の機器事業は海外市場抜きでは考えられない。国内市場はリーマンショック以降再び拡大しているが、06~07年度の規模までは戻っておらず、今後数字が戻ったとしても、違う内容であり、復活や回復とは言えない。
顧客であるFA機器の装置メーカーは中国などに移動して生産しており、需要は国内ではなく、海外で発生している。こうした日系のユーザは海外工場を作るときに海外でサポート可能かどうかを求めており、これはFA機器メーカーとしてミッションであると思う。営業、サービス、情報提供のため現場を整備していく」。
―国内市場に対してはどう取り組みますか。
「新事業のお手伝いをしていきたい。既存事業は輸出中心になるが、研究開発、最終的なものづくりに繋がる設備用電機品づくりで貢献できることがないかを模索していく。
素材、業種の新しいところ、例えば液晶などのFPD(フラットパネルディスプレイ)も、材料、基礎構成部品、製造装置は日本で作っている。
ソーラー関係も量産化に向けて、今年度から11年度にかけて本格投資が動くことが見込まれ、設備にスペックインしていただけるように営業を強め、FA機器メーカーとしてチャンスを探りたい」。
―機器事業の現在の売り上げ、シェアと今期の計画を教えてください。
「ピークであった06~07年度は2400億円弱の売り上げがあったが、09年度は1500億円レベルである。10年度は09年度比130%を目指し、2000億円レベルに戻したい。
同時にマーケットシェアのアップも狙う。シーケンサ(PLC)は60%を62~63%、表示器は40%を超えたが43%でトップを確立する。サーボモータは40%を瞬間的に超えた時もあったが、現状37~38%で足固めし、中期的に40%を目指したい。インバータも40%を超える位置につけており、42%を狙うが、75kW以上の大容量タイプやグローバル市場開拓での課題を解決して拡大を図る。
配電制御機器は、ノーヒューズブレーカの50%を53%に、電磁開閉器は機械メーカーへの採用を促進し、42%を目標に定着を図りたい。
機器事業ルートで販売を始めたロボットは、商談件数は増えているが、電子部品市場の落ち込みの影響で半減している。労働者派遣法の改正などで、自動化してしまおうかといった時期に備えている」。
―国内市場開拓に向けた営業施策をどう進めますか。
「09年度からFAダイレクトコミュニケーションセンターを設け、顧客のニーズを掘り起こし活動を展開している。機器事業の司令塔的な存在として、顧客との『face
to
face』を深め商談に結びつく機器製品のニーズ収集などを行っている。
同時に営業拠点網の弱いところでの拠点設置、キャラバンカーによる訪問活動などを進めている。現在2台あるキャラバンカーはフル活用の状況であるが、さらに増台も必要である。工場だけでなく、研究所などへの営業活動も新分野開拓への情報を掘り起こす上で重要となっている。
国内市場がピークに戻らない中でも、絶対に失ってはいけない分野・顧客を守りながら、健全に利益を生み出していきたいと考えている」。