オムロンは、高速ネットワークであるEtherCATに対応した世界初のEtherCAT対応位置決め専用視覚センサ「形FZM1シリーズ」を発売した。オープン価格。初年度販売計画は10億円。
近年、位置決め制御の速度や精度への重要性が高まっており、同社では、PLCの位置制御ユニットやサーボドライバの処理を高速化するとともに、これらをつなぐネットワークとして超高速通信が可能なEtherCATを採用している。
FZM1シリーズは、位置決め制御の目となる位置決め専用視覚センサ。今回、各種製造ラインでの品質検査で評価の高い同社のFZシリーズに、位置決め専用の新しい画像処理アルゴリズムを加え、位置決め計測の安定検出と高速処理を実現した。
様々な対象物に合わせた位置決め検出専用の画像処理項目を搭載。対象物に合わせ項目を選択するだけで、演算や複雑な設定をすることなく安定した位置決め検出が可能である。
一般的なサーチ処理や、パターンマッチング用に対象物を幾何学図形として認識するEC(エッジコード)画像処理技術を搭載。外乱光や汚れの影響による検出位置のズレを最小限に抑える。
計測処理例では、液晶パネルやプリント基板の製造工程で用いられる十字マークや丸印など、アライメントマークを高精度に検出する。同マークが印刷できない対象物は、対象物のコーナーを検出し位置決めを行う。丸みのあるコーナーや欠けの発生にも影響を受けず安定して検出する。
電子部品や食品のピッキングなど汚れや印字ミスで特徴点が検出できない場合は、輪郭情報で対象物の位置や姿勢を検出するECMサーチ処理を使い、高精度に位置・姿勢計測を行う。
また、EtherCATに対応することで、課題とされてきた位置制御ユニットやサーボドライバとの接続の難しさを解消。システムトータルとしての処理スピード向上を実現した。さらに、カメラで撮像した画像上での位置座標を、出力先のステージやロボットの座標に変換するキャリブレーションのための演算や、通信プログラムの作成など、位置決め独特の難しい設定作業を簡易・自動化。設計時の工数を削減し装置の即立ち上げに貢献する。
従来の30万画素カメラでの画像取り込み時間を大幅に高速化するハイスピードカメラをラインナップし、部品の高速整列を実現。さらに、検出速度従来比20倍速のECMサーチ処理を搭載、検出の超高速化を実現した。