経済産業省の「平成22年度クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金」制度の一環で、電気自動車(EV)の急速充電器を新たに設置する際、補助金が交付されることから充電スタンド市場が急速に伸長している。充電スタンド設置に関する補助金制度は、各地方自治体にも拡大しており、今後ますます普及に拍車がかかるとともに関連する市場も拡大しそうだ。
Evやプラグインハイブリッド車(PHV)の充電器の動きは、08年頃から積極的に開発されだし、09年からは補助金効果による需要増と、実証実験を兼ねた市場投入が積極的にされ始めた結果、市場規模は前年比約10倍の12億円となった。
特に、09年に開発された普通充電器(単相200V)は、急速充電器に比べ低コストで導入が容易であることから、時間貸駐車場やコンビニ店舗などで導入が進んでおり、EV用・PHV用充電器市場は2015年に108億円に達すると予測されている。
さらに経済産業省や各自治体から急速充電器を設置する場合、補助金が出る制度が始まったことで、市場はさらに急成長すると予想されている。
経済産業省の補助金制度は、交付される対象者が地方公共団体やリース会社などの法人・個人で、補助金額は、充電器の基準額の2分の1、または本体価格の2分の1のうち金額の低い方が採用される。
地方自治体では、東京都が都内で急速充電設備を設置する事業者を対象に急速充電器本体価格から、国の補助相当額を差し引いた金額の2分の1を交付する。上限額は87万5000円。国の補助金制度を利用しない場合でも、その補助相当額が控除される。
このほか、神奈川県横浜市や川崎市、埼玉県、新潟県、岡山県などが補助金制度を開始している。
充電スタンドの動きでは、日産自動車が独自に開発したEV用の急速充電器を全国の日産部品販売会社に向け販売を開始した。
同社の急速充電器は従来品の半額程度で、日産「リーフ」を充電した場合、約30分で80%の充電ができる。同社では、今年12月までに全国約2200店舗の日産ディーラー全店舗に200Vの普通充電器を設置、そのうち約200店舗に急速充電器を設置する予定である。
また、豊田自動織機は、中部国際空港・日東工業・JFEシビルと共同で、プラグインハイブリッド車(PHV)及びEV用の充電インフラの実証実験を開始する。中部国際空港内の顧客用駐車場に200V充電スタンドを1基設置し、利用者や使用電力量、稼働状況などのデータを収集するもので、空港内への同スタンド設置は初めての試みとなる。
制御機器メーカーでは、前出の日東工業のほか、内外電機、パナソニック電工などが展開している。
また、内外電機は200V倍速充電方式の充電スタンドを、オートバックスなどを中心に導入を進めている。2台同時充電が可能なほか、特定利用者向けダイヤル開錠、一般利用者向けハンドル開錠など2種類から選べるほか、屋内にも設置できるミニタイプも発売している。さらに、最近ではJFEエンジニアリングが3分間で充電できる超急速充電器を開発、今年度中の市場投入を目指している。EVの電池容量を80%まで急速充電する場合、現状では約30分ほどかかり、充電時間の長さがEV普及のネックとなっていた。
同社の超急速充電器は3分間で電池容量の50%、5分間で70%の充電が可能である。さらに、受電容量の増強が不要なため、ガソリンスタンドなどに設置する場合、受電容量を増やすための設備投資も不要でコストダウンに繋がるという。