横河電機は、インダストリアル・オートメーション用無線通信規格ISA100・11aに準拠したフィールド無線機器を世界で初めて製品化、第1弾製品を7月から販売開始する。
今回発売する製品は、差圧・圧力伝送器「EJX―Lシリーズ」、温度伝送器「YTAシリーズ」と「フィールド無線用一体形ゲートウェイ」。これらの製品を導入することで、従来のフィールド無線機器と比較してより幅広い用途でフィールド無線ネットワークの構築が可能になる。
用途はプラントにおける温度測定、流量測定やタンクレベルの測定などで、2012年度にフィールド無線機器で70億円の売り上げを見込んでいる。
プラントを構成するフィールド機器と制御システム間の通信を無線化することは、配線、エンジニアリングコストを削減でき、配線が困難な場所にも機器の設置が可能になるなど、多くのメリットがある。しかし、プラントに無線通信を導入するためには、電波干渉の回避やセキュリティの確保など無線方式に必要な一般的な条件に加え、プラントを安定して稼働させるために必要な高い信頼性、リアルタイム性、耐環境性を持ち、防爆対応がされている必要がある。従来は、通信の実時間性やデータ到達の確実性が比較的ゆるいデータのロギング、機器の状態監視など限られた用途で無線通信が導入されていた。
90年9月に国際計測制御学会が策定し施行したインダストリアル・オートメーション用無線通信規格であるISA100・11aは、高い信頼性と、対応可能なアプリケーションが多様で、ネットワークを拡張しやすく、各種有線規格と高い整合性が期待できるという特徴がある。
主な特徴として、暗号化処理でデータのセキュリティを確保した双方向のデジタル無線ネットワークを構築することで、生産情報(プロセス値)、機器の状態情報、パラメータ値などさまざまなデータの送受信が可能になり、従来の状態監視、状態診断の監視、パラメータ値調整などの用途に加え、生産制御が無線通信で行える。
また、防爆仕様の電池ケースに大容量の電池を収納してから機器に取り付けるので、最小の保守頻度で防爆エリアでも簡単に電池を交換することができる。同社では、将来的に太陽光エネルギーなどを利用した電源供給技術の開発にも取り組み保守効率の向上を図る計画。
さらに、新たな無線技術が開発された場合でも、無線インターフェース部分を交換するだけで、柔軟に機能の追加、変更に対応できるなど、既存のシステムとの高い整合性により、ユーザーの保有資産を無駄にすることなく有効活用することができる。