三菱電機の産業メカトロニクス事業が順調な回復を見せている。2010年度は過去のピークであった07年度の80%ぐらいまでの回復を見込んでいる。
同社の産業メカトロニクス事業は、放電加工機、レーザーや電子ビームなどの加工機、CNCなどが主な製品群で、産業メカトロニクス事業部が国内と海外販売をすべて統括している。このところ中国をはじめとした海外市場の活況もあり、「事業部全体の売り上げの80%近くが海外需要関連で、このうち中国向けが半分を占める。中国、韓国、台湾へのCNC販売額はピークをはるかに超え、過去最高である」(産業メカトロニクス事業部正垣信雄事業部長)。
従って、CNCは昨年まで国内・海外が半々であったのが、今年度は60%超が海外、加工機も70%超が海外と、外需が伸びている。この結果、「CNCのシェアは国内が24~25%、中国、台湾、韓国でも25%ぐらいを確保している。加工機の国内シェアも45~46%である」(同)と言う。
中国ではローカル企業への販売が8割を占める一方、タイ、マレーシアなどの東南アジアでは日系企業の投資増で受注が伸びている。また、市場での用途も、日本では金型加工が主流で部品加工での使用は少ないが、欧米では金型加工から部品加工用途にシフトしつつある。
同社では、高精度細穴放電加工など部品加工分野への拡大に向けた取り組みを強めるとともに、関係会社と連携したソリューション提案を進め、浸透を図ろうとしている。同事業部の売り上げは、07年度の約1000億円がピークであったが、現状は国内が大きく落ち込んでいることもあり、放電加工機は半分を超えたが、CNCはまだ半分に達していない。
正垣事業部長は「10年度の売り上げは前年度比300%ぐらいになるだろうが、電子部品、機械部品などが入りづらく、納期が2~3カ月かかっている」と今後の見通しを語っている。