最近では、公共建物や高層ビルへの雷害対策機器の採用・普及が加速しているが、政府では温暖化ガス対策の一環として、20年までに全国の公立小中学校、約3万2000校で太陽光発電を導入する方針を打ち出しており、こうした太陽光発電システム向けの雷害対策機器も多数開発・発売されており、需要も急拡大することが予想され大きな市場に成長する動きも見えてきた。導入される太陽光パネルは一般的に20kW型が多いが、太陽電池アレイは屋外設置のため直撃雷を受けやすい。雷害対策機器メーカー各社では、雷害の保護方法に応じた対策を提供できるようにしている。外部雷保護、内部雷保護、系統安全といったように雷害保護方法に応じた分担体制を敷き、外部雷保護担当は、直撃雷から太陽光モジュール設備を守るため太陽光モジュール専用避雷システムなどの保護対策製品の販売と設置工事を、内部雷保護担当は、太陽光発電システムの直流側設備(接続箱、パワーコンディショナなど)を、雷の被害から保護する太陽光発電システム用SPD(サージ保護デバイス)や、信号回線用SPD、太陽光発電装置免雷接続箱、磁気カードに落雷電流を記憶させる雷記憶カード、キュービクル用アレスタ、RS485回線用SPDなどの製品提供を行っている。
系統安全では、直流回路の地絡を検出し、極性の判別を高精度・高感度に行う直流地絡継電器、プラグイン式の分離型直流地絡電流継電器、多回路型同継電器、回路ごとの絶縁抵抗値を計測し、同値が低下すると警報で知らせる直流回線別絶縁監視装置、直流漏電警報付き配線用ブレーカ、往復の負荷電流の僅かな差電流を検出する貫通型直流地絡変流器、作業者の安全用に交直両用検電器など、安全な電気の流れを制御・監視、機器を点検する数々の製品提供を行っている。
雷害の保護方法に応じて
各種機器を用意
一方、雷害対策機器関連の規制緩和では、07年に建築設備設計基準が大幅に改定された。雷保護用SPDについて分電盤などへの取り付け基準が緩和されたことで、SPDの需要が伸びており、市場拡大へ向け追い風となっている。
これに伴い、避雷器の電源用SPDにおける最大連続使用電圧量が、従来の200Vクラス対応から500Vクラス対応まで拡大し、従来250V対応機器を2台使用していたケースでは、500V対応機器1台で対応できるようになり、使用者側のコストダウンに繋がっている。
また、最近では海外からの輸入品も増加していることもあり、国内では06年に設立された日本雷保護システム工業会(JLPA)など、各種の雷害対策機器関連の工業会が中心となり、機器の普及拡大へ向けPRや啓蒙活動を活発化させており、拡大が予想される市場に対し万全の体制固めを行っている。
雷害対策機器メーカー各社も、雷保護技術セミナーの開催、展示会への出展など、機会を捉えて雷の実態や建築物被害の実例紹介、さらにその対策などを説明・紹介して、施主などへの啓蒙活動を進めている。情報化時代の進展に比例して、雷害対策機器市場は今後も拡大・成長することが予想される。