MECHATROLINK協会は、MECHATROLINK―IIIに対応した低コストのスレーブ(サーボ、I/Oなど)ASIC「JL―102A/103A」=写真=2機種を20日から発売した。価格は、マスタ機能を減らすことでゲート数を削減するとともに、ダイサイズも小型化したことで、600円と従来の1600円に比べ大幅な低価格化を実現している。
MECHATROLINK―IIIの開発にはマスタ/スレーブ兼用のASICが必要となるが、ユーザーからスレーブ専用の低価格ASICの提供が求められていた。
新ASICは、低価格に加え、低発熱、省電力、組込み開発が容易などの特徴も持っている。
JL―102Aは、144ピンのFBGAパッケージで、寸法は12×12ミリ。熱抵抗値は43℃/w(0m/s)。マスタ/スレーブ兼用のASICで。JL―100とピン互換性がある。
JL―103Aは、100ピンのLQFPパッケージで、寸法は14×14ミリ。熱抵抗値は46℃/w(0m/s)。
MECHATROLINKは、FA分野のコントローラとサーボモータ、インバータ、ステッピングモータなど各種コンポーネントを接続するモーション制御向けのオープンなネットワーク通信で、高速通信や同期性の保証により、システムの高速化や高機能化、高信頼性を実現し、また、システムの省配線や小型化、高い拡張性を持つ。
これまでに、MECHATROLINK協会の認証を取得した約170万ノードの製品が、半導体製造装置、液晶製造装置、食品包装機器、LED製造機器向けなどに国内外で出荷されている。
最新仕様のMECHATROLINK―IIIは、伝送速度が100Mbpsイーサネットに対応した高速通信で、伝送周期は
31・25μsから64μs、最大で62ノードまでの機器を接続することが可能で、それぞれのノード間では完全同期した制御が出来る。
なお、同時にMECHATROLINK―IIIスレーブASICサンプルキットも発売した。試作開発用として物理層で使用するASIC、EthernetPHY、パルストランス、発信器、コネクタなどの主要部品5個をセットにしており、JL―102用とJL―103用の2種類を用意。価格は2万5700円。スレーブASICは安川電機、スレーブASICサンプルキットは安川コントロールから販売される。
MECHATROLINK協会事務局の田中毅代表は「今回の小型・低コストのASIC発売で、普及タイプのMECHATROLINK―II及び、高速タイプの同―III用ASICの品ぞろえが完了する。これにより、ますます対応製品の開発が加速する」と語っている。