安全な機械の設計を考える場合、ISO12100―1(JISB9700―1)を踏まえ設計することが前提となる。
機械を誰がどのように使用するか、どこが危険なのか、どのぐらいリスクがあるかを明確にする。リスクを見積もった結果、ISO12100―2(JISB9700―2)に沿ってリスク低減をする必要がある。
ISO13849―1:1999(EN954―1)では、機械の安全レベルを「カテゴリ」という尺度で決定していた。
カテゴリの決定は、機械の使用時間、使用頻度に関係なく、リスクアセスメントで想定される危険に対してリスクレベルを評価し、その結果に沿ったカテゴリBから4までの制御システムの安全回路を構築するのが一般的であった。
しかし、リスクアセスメントをする立場の人(例:ユーザ)とそのリスク低減をはかる人(例:機械設計者)の間で、ユーザが機械設計者の視点で安全回路の機能の違いを理解しているとは限らず、機械設計者にとってはユーザの要求が分かりづらいものだった。
また、実際の労働現場では休業数日間といった軽傷の場合が圧倒的に多いなかで、ISO13849―1(EN954―1)のリスクグラフではリスクの見積もりが重傷側に比重があり、この点が正確に反映されてなかった。
ISO13849―1:2006では機械をどのぐらいの時間、どのぐらいの頻度で使用するかという視点を取り入れた。
そのため、リスクアセスメントを実施する立場からみて、実状にあわせたリスク低減策ができるようになったといえる。また、リスク重大度の見積もりが軽傷でも、その発生確率の高低に応じて、リスクの大きさを判定するように変更となった。(図2)
※(記号の意味)
S
怪我の重大性
:S1軽傷
S2重傷
F
危険にさらされる頻度
:F1まれ
F2つねに
P
危険を避けられる可能性:P1可能
P2不可能