オムロンは、中華圏において主力事業であるIAB(工場自動化用制御機器事業)の強化を図る。ローエンド製品の強化など商品ラインの拡充、販売チャネルの強化拡大、サービスサポートの強化を図り、IABを中心にEMC(家電通信用電子部品事業)、AEC(自動車用電子部品事業)などの事業も含め、今年度中華圏での売上高1000億円超えを目指す。
同社が発表した11年3月期第1四半期の業績は、中華圏を中心とした新興国を中心に売上高・利益とも大きく回復、増収増益となった。特にIAB、EMC、AECの主力制御3事業が大きく回復、IABは売上高695億円(前年同期比63・2%増)、EMC200億円(同26・1%増)、AEC216億円(同55・7%増)となった。
地域別における同社全体の売上高では、中華圏、東南アジア地区での売上高が急伸しており、第1四半期の売上高では、中華圏が242億円で同44・8%増、東南アジア132億円で同66・9%増となっている。他地域も国内は696億円(同35・6%増)、北米184億円(同38・8%増)、欧州216億円(同21・8%増)となっている。
特に中国は、10年度において実質9%のGDP成長率を予測。今後、中期的な経済成長が期待され、同社の主力事業であるIABの成長が見込まれる。
IABがかかわる中国のFA市場は、内需成長の継続が続いており内陸部への産業シフトやインフラ投資、日本・韓国・台湾など先進国企業の中国での生産・購買の加速、さらに沿岸部の労働力不足・人件費高騰、品質向上ニーズの高まりによる中期的な自動化投資が加速している。
こうしたことから、昨年度の中華圏の売上高は、IABを中心にEMC、AECも貢献し、800億円弱に達した。特にIABの中華圏の売上高は、中国のGDP成長と比例、連動している。中華圏の自動化投資が拡大していることから、同社では今後、IABの中華圏売上高は中国の鉱工業生産指数よりも高い伸びを示すと予測している。
IABの中華圏における具体的な強化策は、商品ラインの拡充として、特にニーズが高まっているローエンドタイプの製品拡充、販売チャネルの拡大では現在約2000社の販売チャネルを中期的に5000社に拡大、さらにSEの強化を含めた顧客ニーズへの対応強化が挙げられる。これらの施策により、同社では中華圏での売上高1000億円超え体制を目指す。