今年度のFA制御関連機器業界は昨年と受注様相が一変し、第1四半期業績が増収増益ベースとなった。第2四半期に入っても受注は高水準で推移しており、国内向け受注はピーク時の8割に達している。
そのため、各メーカー・商社とも今年度売り上げ予測を早くも上方修正したところが多い。ある大手制御機器メーカーでは当面の状況について「現在の受注状況から見ると、今年度上期まで現在のペースで推移しそうだ。下期は、まだハッキリとした傾向が掴めていないが、今年度売り上げは2桁増加が見込めそうだ」としている。
好調な受注状況が続く中で、納期遅れ問題は解消していない。
FA制御関連機器で特にサーボモーター、インバータ、さらにセンサ、PLC、表示器、電源装置などはフル生産しているものの納期が遅れている。また、最近では近接センサや15インチ以上の大型表示器も同様の状況になりつつある。
これら製品の多くは、半導体・電子部品の納期長期化が一大要因である。「中国で製造している電子部品は、発注しても納期直前になって製造できない」とキャンセルするケースも多いという。
ある電子部品商社では「半導体や電子部品は、自動車や中国の工場に優先的に回される」と指摘する。また、ユーザーとメーカー・商社との力関係や折衝力の影響も見逃せないとの見方もある。
大手商社の話では「FA制御機器の受注は今年年末まで好調に推移する見込みだ。こうしたことから納期に関しては年末までバタバタするのではないか」と、あきらめた様子。
ただ、電子部品に関して「抵抗器は中国生産が多く、国内生産品は比較的納期が良くなっている。それでも現在1カ月から5カ月、長いもので1年近く待たされている。コンデンサーは機種により納期に差があるが、まだ長い。半導体も入手難が続いている。しかし、電子部品の調達は徐々に改善傾向にある。生産ラインを増やすメーカーが出てきており、受注も一段落してきたので、意外に早く需給が均衡する可能性もある」との見方が出てきた。
電子部品生産は昨年1月を底に徐々に回復し、今年3月まで大幅な伸びを示しているが、伸び率が4月以降は鈍化し始めている。
FA制御関連機器市場は電子部品市場から3~6カ月遅れる傾向がある。下期から受注回復の足取りが鈍くなり、一方で部品入手が容易になれば、FA制御関連機器の納期解消時期も早まる可能性がある。
先行き受注に関して「現在の受注を見ると輸出企業向けが大半である。V字回復の半導体製造装置にしても輸出である。欧米の景気見通しが不透明で、頼みの中国も安心できない」と不安視する。そのため、FA制御関連各社は、足元の受注は急回復しているが、2000年から03年にかけての経験から「国内の設備投資が回復しない限り新規設備投資は極力避ける。生産改善、雇用助成金の返上で受注増加に対応する」意向のようだ。