品質研究会(主査=オムロン副田耕司氏)は、電気制御機器の安全、品質維持・向上など品質システムにかかわる事項の調査・研究・情報収集と啓発を主な目的に活動をしている。
現在9社が参加し隔月で委員会を開催しており、累計開催回数は89回になる。
品質研究会は、品質マネジメントの国際規格ISO9001/9002の構築が日本企業にも求められるようになっていた1995年頃に、NECA会員企業も情報を共有しながら品質の向上を図ろうと、技術委員会から分かれてスタートした。
ものづくり企業が集まっている工業会だけに品質に関する課題を各社が抱えており、こうした課題の中から共有化できるテーマを取り上げて活動を行っている。特に中国をはじめ海外へ進出する企業が急速に増加していることから、00年には海外進出での「品質確保するためのガイドライン」や「用語集」を作成した。また、02年には中国の「CCC入門書」も作成し、CCCの実態も研究している。
さらに、欧州のRoHS規制にも品質面から見た実態を研究した活動も行っている。
09年度は各社持ち回りで、品質に関する事例研究発表を2回行った。ひとつは「測定器校正に関する推進ガイド」で、UL検査官が使用する測定器の校正トレーサビリティについて、もうひとつは「半導体業界での変更管理(コピーイグザクトリ)」の運用実態について、事例発表とその時に意見などを通じて何らかのヒントに結びつけば意義のある活動といえる。
また、09年度は品種に関する勉強会として、製品安全の観点から安全性が最重要視される原子力発電所を見学した。浜岡原子力発電所の原子力館で原発における考え方・取り組みなどの情報を収集し、NECA会報を通じて会員へ情報提供した。
10年度は、09年度の品質事例研究発表を各社持ち回りで引き続き行っていくほか、機能安全規格ISO61508や消安法などの情報収集に取り組んでいく計画だ。
こうした活動の一方、品質研究会では、昨今の部品の海外調達に伴う品質検査の実態にも注目している。コストを重視した調達では、価格優先の採用になりがちである。品質を落とさずに検査効率を上げるためには、製品の完成時点か、素材の段階からかなどといった品質評価ノウハウ情報を、共有化して活用していくことも狙っている。
品質研究会は製品品質に留まらず、環境、安全などものづくり工業会の一番重要な部分を支えているだけに、活動や着眼点も幅広く、その役割への期待も高いといえる。
【委員会参加会社】
オムロン、光洋電子工業、国際電業、サンミューロン、日本開閉器工業、パナソニック電工、富士通コンポーネント、富士電機機器制御、山武